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『はたらく魔王さま!(20)』千穂が暗躍する裏側で真奥と恵美が同棲する最新刊の感想です!(ネタバレ注意)

 

前巻から3か月。

本編の方の刊行が停滞気味だったはたらく魔王さま!ですが、今回は早々に最新刊が出て嬉しい限りですね!(前巻の書評はこちら

前巻では、本作品のキャラクターの人間関係も大きく変わり、物語も進展しはじめていました。

それだけに、続きが楽しみだったので早めの刊行はありがたかったですね。

鈴乃の告白に、千穂の別の意味での告白(というか暴露)と、一応メインヒロインであるはずの恵美が置いてけぼりな感がありましたが、今巻では恵美メインの話が多かったので、恵美ファンは嬉しかったのではないでしょうか?

個人的には鈴乃が好きなのですが、今巻は出番控えめでその辺は少し残念でした。

そして、今巻では裏で暗躍している千穂の存在感が一番目立っていました。

実は出番はその存在感から想像されるほど多くないのですが、千穂を中心に物語が進んでいるという感じで、とにかく存在感が半端ではありませんでした。

かなり今までの千穂のイメージとは違う一面を見せているので、千穂ファンの中では賛否がわかれるかもしれませんね。

個人的には、ちょっと嫌の側面を見せつつも、裏ではその為に甚大な努力をしているような千穂には好感が持てますけど。

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本作の概要

前巻でマグロナルドの主要クルーにはエンテ・イスラの事情が暴露されてしまいました。

その結果、人間関係的には一応今まで通りですが、日本の常識に則っていないエンテ・イスラ関連の重要人物が訪れるようになり、バタバタと混乱が続きます。

そんな折、アシエスのような異変がアラス・ラムスにも起きるようになり、真奥と恵美が同棲せざるを得ない状況になったり、それにエメラダが憤ったりと、シリアスなんだけどシリアスになりきれない展開が続きます。

しかし、その裏側では千穂の暗躍もあったり、俗っぽい日常と物語の壮大な部分が入り混じった内容となっています。

最後には、今回頑張りに頑張った千穂が真奥に、半強制的にご褒美を要求して・・

前巻に引き続き、恋愛的な意味でも進展の大きかった巻となります。

本作の見所

カラーページのショートショート

今巻、本編で出番の無かった木崎元店長と岩城現店長のショートショートが地味に面白かったです。

エンテ・イスラの事情をしった2人が、事情聴取というか・・面接のような形で真奥の真意を問いただすというエピソードですね。

本当に、ただただ面接のように真奥の話を聞いているだけの、何ら特筆することのないようなエピソードなのですが、一応は戸惑いつつも大人な対応は変わらない木崎店長が良いキャラしていました。

実はサブキャラの中では木崎店長が一番好きなので、こういう形でも出番があって嬉しかったです。

千穂の暴露劇の後のマグロナルド

一応マグロナルドのクルー達と真奥・恵美との関係性は、若干たどたどしい感じになりつつも今まで通りに収まりました。

「・・一応確認するけど、無礼な人間を魔法で消滅させたとか」

とはいえ、いくら真奥の人柄を知っているとはいえ、異世界の魔王だと言われてしまえば多少の警戒心はあるのでしょう。

今まで通りの関係を築きつつも、発言の節々に警戒心が現れていますね。

実際問題、千穂の暴露劇直後から明らかに日本の常識からすると浮世離れした輩が来店するようになり、頭では理解・納得していても心が追いついていないのかもしれません。

一方、マグロナルドに訪れるエンテ・イスラ側の有力者たちは、魔王が平謝りしたり、同格かそれ以上の相手のように接しているマグロナルドのクルーを見て驚きが隠せないような様子です。

いわゆる「所変われば」というか、「郷に入っては」というか、どんな有力者にもそうは見えない一面を持っていたりするものだとは思います。

そういう所にあるギャップを直に感じるような体験って、自分が当事者だとどこか気まずい感じがしたりするものですが、傍から見ていると面白いと感じてしまいますよね?

真奥と恵美の同棲

アラス・ラムスの消失という今までに無かった事件に真奥も恵美も慌てふためきますが、それ自体はすぐに解決します。

子供特有の「かまってちゃん」が発動して、真奥と恵美の気を引こうとしたアラス・ラムス自身が原因だったのですが、アシエスの暴走のこともあり、アラス・ラムスの今後暴走してしまう可能性があるとのこと。

それを予防するためには、真奥を父親、恵美を母親とした家族をちゃんと演じることが必要なのだとか。

最初は、特に恵美は真奥と同居しなければいけない対策案を徹底的に拒否し、他の案や否定材料を探しまくります。(笑)

いや、まあ以前のような敵対こそ今はしていないとはいえ、そもそもそこまで仲が良いわけでもない男女が一つ屋根の下に暮らす。しかも、実の子供ではないとはいえ自分たちのことをパパママと呼ぶ子供と一緒に。

仲が良い男女だったところで、そう簡単には「じゃあそうしよう」とはなりませんよね?

しかし、その背景には世界の命運も懸かっているので、最終的には渋々ながら2人は同居することになります。

「いや、何も言わずに絨毯やソファに座ったら、お前怒るかなって思って」

絨毯やソファを避けて座る、遠慮しすぎなくらいに遠慮している真奥に・・

「安心して。冗談よ。あなたが必要なら買ってもいいけど、ちゃんと予備や客用もあるから」

何だか自分の器の小ささを自覚してしまった恵美が、大なり小なりの譲歩を見せる。

ライトノベルで主人公とメインヒロインが一つ屋根の下で同居している~なんて言ったら、甘々としたラブコメ展開を思い浮かべる人が多いとは思いますが、この2人でそうなるわけがありませんね。

本来であれば、パーソナルスペースの距離が赤の他人以上に遠そうな2人が、恋人以上に近しい距離感で過ごしている。

これ程気まずいことは他には無いだろうってエピソードですが、傍から見ている分には面白いです。

実際、作中でも怒っている人、呆れている人の他に、明らかに面白がっている人もいましたしね。(笑)

エメラダの憤りと千穂の目的

最初のカラーページのショートショートからずっと憤っているエメラダ。

普段のふわふわした柔らかい感じの雰囲気から今までわかっていませんでしたが、どうやらエメラダも家族を魔王軍に殺されていて、その怒りもあって魔王のことは全く許していないらしいです。

「魔王がエミリアの傍にいることを、納得はしました。でも、許したことは一秒だってありません」

千穂にそう言うエメラダ。政治家としては、その状況を冷静に見送れば良いとわかってはいても、エメラダ個人としては、親しい友人であるエミリアの傍に魔王がいることに対する憤りを抑えることができなかったということなのだと思います。

そして、真奥のことが好きなはずの千穂に、それを止めて欲しかったのだと推測されます。

しかし、千穂はエメラダのどこまで本気なのかわからない愚痴を最後までちゃんと聞いて、エメラダが暗に千穂に何を求めているのかを理解した上で答えます。

「真奥さんと遊佐さんの同居は、アラス・ラムスちゃんやアシエスちゃんのためにも、私の未来の目的のためにも、止めるつもりはありません」

千穂の目的、皆がバラバラになっても、またいつでも集まれるような器、場所を作ること。

千穂にも嫉妬のような感情が無いわけではないでしょうが、目的のために必要だと判断したことであれば、冷静に見送るだけの器が既に千穂にはあるのだと思われます。(ナニコレ、こんな女子高生いるの?)

いやはや、鈴乃が初登場した頃なんかはライバル登場にあわあわしていて可愛らしかったものですが、千穂の成長率が半端ではありませんね。

ちなみに、千穂が真奥と恵美の同居を静観しているのにはもう一つ賢しい意図があったりします。

真奥と恵美が同居した所で何もないという前提で、そういう状況なら前巻で真奥に告白した鈴乃も何もできない。結果的に何かありそうな鈴乃が何もできない状況になっているので、千穂的にはむしろ都合が良かったのかと思われます。

「・・悪い女ですね~」

「もう、私は『ちーちゃん』を卒業するんです」

エメラダと千穂のこうのやり取り、めっちゃ好きです。

いい子いい子な千穂も好きだったけど、ちょっと大人な器の大きさを見せる千穂も良いですね。

養育費請求書

「『家族』になるなら、絶対に欠かせないものって、あるわよね? ぱぱ?」

真奥に対する発言としては恵美らしからぬ雰囲気のセリフですが・・

まさかアラス・ラムスの養育費を請求するとは。(笑)

良い機会だからという感じなのだと思いますが、真奥にしてみれば青天の霹靂。しかも別に理不尽な要求でも、理不尽な額だというわけでもない。

相談した芦屋も、これを踏み倒すのは不可能だと断じます。

いやはや、これから徐々にシリアスになっていくぞというところに真奥たちの貧乏ネタ。

こういうシリアスな雰囲気の合間にある俗っぽいネタ、めっちゃ好きです。

頂点会議(サミット)

戦闘力も政治力も権力も無い、その上でエンテ・イスラの事情的には一番の第三者である千穂が議長を務める頂点会議(サミット)は、全力で虎の威を借る千穂の進行でつつがなく終わります。

「ええ。だって皆さんだけじゃ逆立ちしたってできないことですから」

「私の後ろにいる二人が何者かを熟考の上で、発言していただけると幸いです」

しかし、頂点会議(サミット)を進行する千穂の言動は、今までの千穂からは想像できないようなものでした。

人間、何か大きな目的を持っていたり、大きな責任を負ったりしている状況だと、素の時とは違う表情が見られるものです。

現実にも、仕事中には厳格な人がプライベートでは柔和だったり、同一人物かと疑ってしまうほど状況によって性格が違う人って山ほどいますしね。かく言う僕自身にもそういう所はありますし・・

そして、頂点会議(サミット)での千穂は、まさにそういう状態になっていたのだと思われます。

とはいえ、普通の女子高生が普通にできることではないはずなので、千穂が相当頑張ったことが伺えますね。

千穂の要求するご褒美

今巻では終始、裏側で暗躍というかずっと頑張っていた千穂。

ずっと主導していた頂点会議(サミット)が無事終わったところで、真奥に何がどう大変だったのかを打ち明け、ご褒美を要求します。

そのご褒美何だったのかまではネタバレしませんが、何となくそういうことだと予想はできますよね?

それにしても、日本人はあまり自分の功績を主張したり、努力したことを人に伝えたりする人種ではありませんが、千穂は意外とそういう所を主張します。

どちらかと言えば控えめな正確な千穂がそんな風に主張するとは、よほど頑張ってきたことが伺えますね。

総括

いかがでしたでしょうか?

壮大な魔王と勇者の物語と、俗っぽい日常が入り混じってるのが魅力の本作品ですが、特に俗っぽい日常の部分はいつまでも読んでいられる魅力があります。

今巻は、まさにそんなはたらく魔王さま!の魅力が強く発揮されていたように思います。

俗っぽい日常が垣間見えつつも裏側には物語の核心が隠れている真奥と恵美の同棲のエピソードもそうですよね。

それにしても、少々停滞気味だったはたらく魔王さま!ですが、いよいよクライマックスも近いのではないでしょうか?

しばらくはシリアスな展開も続きそうですが、千穂の望むような結末が得られるのかに注目ですね!