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【ネタバレ注意!】「りゅうおうのおしごと」9巻の感想。天衣ちゃんファン必読!

 

毎巻毎巻、期待を裏切らない感動を与えてくれる名作中の名作。

「りゅうおうのおしごと」 最新巻!

今回も当然のように期待を上回ってくれました。

 僕は既刊の中では5巻が一番好きで、本作に限らずラノベ全般という広い括りで見てもトップクラスの名作だと思っていて、いくら何でもこれを上回ってくることはないだろうと思っていたのですが・・

9巻は、それに勝るとも劣らない名作だったと感じました。

 

「りゅうおうのおしごと」とは? 

この記事を見ている人は大体知っているとは思いますが、知らない人のために簡単に説明します。

簡単に言うと、史上最年少竜王の主人公が小学生の女の子2人の師匠になるお話ですね。

だけど実際はこんな簡単には言い表せない中身の濃い小説だと思います。

アニメ化もされた有名な作品なので、読んだことないけどそれくらい知ってるわ~、可愛い女の子ときゃっきゃうふふしてる話でしょ~って、そう思ってる人もいるのではないでしょうか?

そんなよくある話だと思ってまだ読んでいない人は本当にもったいないです。

僕は将棋の世界に詳しくないですが、「師匠と弟子の関係」「タイトル戦」「プロを目指すものの苦悩」などの将棋の世界に纏わる物事がリアルに感じられる、中身の濃い小説だと思います。

また、この作品の最も良い所は、登場人物の「在り方」に泣かせる要素がある所だと思います。

哀しさや悲しさ。嬉しさや喜びで泣かせる名作ってのは枚挙に暇がありませんが、この作品のように「在り方」で泣かせる作品は、実は珍しいのではないでしょうか?

主人公やヒロインの2人の弟子だけではありません。主人公の姉弟子の中学生や、50歳の師匠、師匠の娘や、果ては脇役だった女流棋士。登場人物のそれぞれに物語があって「在り方」について描かれています。

リアルに描かれた「在り方」には、哀しさとか嬉しさのような一言だけでは表現することのできない熱い感情があって、僕はそこにこの作品の魅力を感じます。

その作品の魅力を最大限に表現したアニメOPの考察はこちら。

9巻は2番弟子、夜叉神天衣の「在り方」の物語

これを読んで天衣のファンになった人は多いのではないでしょうか?

この作品の登場人物はみんなとにかく熱い何かを持っているのですが、そんな中で天衣は、どちらかといえば控えめに一歩引いた立ち位置にいるクールなキャラクターであるように感じていました。

そんな彼女が、今巻では内に秘めていた熱さを、闘志を、苦悩を、前面にさらけ出してくれます。

両親の墓前で静かな闘志を燃やす天衣。

「次に来る時には必ず・・・必ず、女王のタイトルをお供えします。私たち三人の夢を」

両親との記憶に思いを馳せます。

「じゃあ天衣は、将棋の女王さまになります!」

しかし、どんな才能も簡単には生き残れない世界。空銀子という壁に挑む天衣は、それ以前の壁に阻まれることになります。

5番勝負の1局目、普段の天衣ではありえない凡ミス。誤って盤上から駒台に落としてしまった駒を自身の持ち駒として使ってしまうという初心者のようなミスで、反則負けしてしまいます。

「私のどこを見込んで弟子に取ったの?」

才能があって、若干10歳でタイトル挑戦者になって、神戸のシンデレラともてはやされ、そしてもともとあったプライドや自信が一気に粉々になったことが伺える言葉ですね。

そして2局目も立て直すことができず、有利なはずの先手番で敗北し、5番勝負のカド番に追い込まれてしまいます。

師匠(八一)と弟子(天衣)の絆

そう言えばこの女王戦の展開、5巻の竜王戦を思い出す展開ですね。

竜王戦では天衣は八一から距離を置くことで気を使っていましたが、八一は天衣のために何かできないかと必死に模索します。

そして選んだ手段が、自分にとっても大事な対局にアマチュアですらやらないような序盤戦術(実は天衣の父親が使っていた戦術)を使って挑みます。

「想像すること。こだわること。自分の世界を持つこと」

そして、その上で勝利することで天衣の可能性を信じているということを伝えようとしました。

これも八一の竜王戦で桂香(八一の師匠の娘)のやったことを思い出しますね。

そして3局目、ついに天衣は不利な後手番で千日手(引き分け)まで持ち込み、有利な先手番を手に入れます。

決着

有利な先手番を手に入れた後の指しなおし。

しかし、相手は女流相手に無敗の強敵である空銀子である。

盤面は天衣の優勢で進むものの、銀子は天衣を千日手に誘導しようとする。

千日手を選べばひとまず負けは回避できる状況だったが・・・

「でも─────いらないわ。引き分けなんて」

天衣は千日手を回避しますが、ほどなく投了することとなり、天衣の初めてのタイトル戦は0勝3敗という結果に終わることになります。

天衣の成長

2局目までは、とにかく勝つこと、負けないことに拘っていた天衣に、3局目では別の思いが芽生えています。

もちろん、勝ちたかったには違いないでしょうが、3局目では「挑戦者であること」に拘っていました。

その結果、負けを回避する千日手を選ぶことができなかった天衣。

「前へ前へと立ち向かう気持ちがあって初めて私はまともに将棋を指すことができた」

自身の対局を通して八一が伝えたかったことが、しっかりと伝わっていることがわかるセリフですね。

数字だけ見れば惨敗という結果に終わりましたが、勝ち負け以上のものを得ることのできた天衣が今後どうなっていくのか、本当に楽しみですね。

総評

というわけで、天衣づくしの9巻でした。

この記事は天衣の活躍に焦点を絞って書きましたが、他にも「観戦記者デビューした1番弟子のあい」「師匠としての八一の成長」「銀子視点で見る女王戦」「銀子に敗れた人たちの物語」など、見所満載の9巻です。

これだけ見所があって、なのに確認したら本文は336ページしか無くて、それだけに1ページ1ページに価値のある名作でした。

ちなみに、個人的にはシリーズ中最高だと思っている5巻の内容が下敷きになっていて、その上で八一と天衣の絆が書かれていたからでしょうか。

今までは突出してどの登場人物が好きってのは無かったのですが、頭一つ分くらいは天衣が好きになってしまいました。

試し読みはこちら