あるいは 迷った 困った

漫画、ラノベ、映画、アニメ、囲碁など、好きなものを紹介する雑記ブログです。

『ダイの大冒険(19)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

双竜紋が格好良すぎる19巻です。(前巻のレビューはこちら )

ハドラーとの一騎打ちの後しばらくは他のキャラクターの活躍が目立っていて、それはそれで読んでいて面白いしキャラクターも魅力的なのですけど、やっぱり主人公らしい主人公のダイは格好良いなぁと思わされる内容になっています。

その前に明らかに雑魚っぽい敵であるゴロアに苦戦する展開にはちょっと笑いましたが。(笑)

いずれにしても、いよいよ最終章が盛り上がり始めたという感じで読んでいてとても楽しい展開になってきました。

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本作の概要

勇者であるダイを先に進ませることが自分たちの役目である。

レオナを通したアバンの宣言に、ミストバーンキルバーンを仲間たちに任せることに後ろ髪を引かれながらもダイはレオナを伴い大魔王バーンの元を目指します。

途中、大魔宮の動力部の暴走に巻き込まれ、それを止めるのをゴロアに邪魔されますが、そのハプニングが大魔王バーンとの戦いを前にしたダイに双竜紋という新たな力をもたらします。

そして、いよいよ大魔王バーンとの再戦が始まります。

本作の見所

勇者ダイを先に行かせるために

目の前でアバンをキルバーンに連れ去られ、助け出すための情報を握っているように振舞うミストバーンと戦おうとするダイ。これは自然な行動のように見えますが、ある意味では大魔王バーンを打倒するという最大の目的を大局的に捉えた場合には悪手となります。

だからレオナはダイを止めようとするのですが・・

「・・レオナ・・冷たいわ・・!」

マァムやポップ他のアバンの使途たちは師匠であるアバンを見捨てることなどできずに・・いや、どちらかといえば師匠を助けようとするダイを止めることそのものを「冷たい」と指摘します。

しかし、それを分かった上でレオナは宣言します。

「地上の正義と・・! 偉大なる勇者アバンの名の下に・・!! 今こそみんなにこの王女レオナが命じます!! ”すべての戦いを勇者のためにせよ・・!!!”」

最後のアバンの使途でアバンとの関りが最も薄いということもあるかもしれませんが、元より王女として大局的な判断が求められる立場にいたレオナだからこそ、アバンは自身の言葉をレオナに託していました。

即ち、ダイを大魔王バーンの元に極力ダメージを負わせずにたどり着かせることが他の者の役割であり、アバン自身もその目的のために戦っているのだから、その意思を組むならダイは前に進むべきだと言っているわけですね。

そして、少しばかり後ろ髪を引かれながらも前に進もうとします。

いやはや、レオナも随分と格好良くなってきましたね。(笑)

そういえば、この『ダイの大冒険』全巻レビューシリーズの最初の方に僕は、レオナのことを目立たないメインヒロインだと言及していたと思います。

それは昔読んでいた時に確かに感じたことではあるのですが、こうしてレビューを書くために読み直していると、意外と要所要所で活躍していることが分かります。

たぶん、他のアバンの使途に比べるとバトル的な意味で目立っていなかったので子供の頃の僕には地味に感じられたのだと思いますけど、いやいや実はそうではない強さがあるキャラクターなのだと今になって気付かされました。

ダイ vs 大魔王バーン

ダイの大冒険』において主人公ダイにある特別が何かといえば、それは最初から竜の騎士の紋章だったと思います。

それが何なのかが明らかではなかった頃から、ダイのトレードマークでしたよね。

そして、バランの登場によって竜の紋章の正体が明らかになったあたりから、トレードマークではあってもこれ以上この竜の紋章が話題の中心になることはないと思っていましたが・・

まさか、ゴロアという今となっては雑魚っぽい敵にまさかの苦戦をすることによって、バランから受け継いだもう一つの竜の紋章が発動するという熱い展開になりました。

これは、確かに大魔王バーンと戦う前に必要なイベントだったような気がします。

以前大魔王バーンと戦った後にも新必殺技を身に付けたりと成長を見せているダイではありますが、一方で大魔王バーンに及ぶほどの急激な成長を見せていたかといえば違うような気がするので、一大決戦の前に分かりやすい形でパワーアップしたのは面白い展開だと思います。

そして、実際に大魔王バーンをして五分であると認めるほどの戦いをダイは見せます。大魔王バーンはそんなダイを前に、倒すのではなく部下にならないかと誘いを掛けます。まあ、当然ダイはその誘いには乗らないのですが、そんな風に大魔王バーンに思わせるほどに成長したダイの戦いがとても格好良いです。

総括

いかがでしたでしょうか?

最初の邂逅では神のごとき圧倒的な強さを見せつけた大魔王バーンですが、父親であるバランの竜の紋章を受け継いだダイはそんな大魔王バーンをして同格扱いされるほどに成長しました。

まあ、ネタバレするとこの大魔王バーンはまだ本領ではないのですけど、というかミストバーンキルバーンが残っている状況で大魔王バーンとの決着が着くわけがないのでメタ的に分かる部分でもありますけど、個人的にはこのシーンから先がまだまだ長い印象がありました。

しかし、あとたったの3冊なんですよね。

それなのに先がまだ長いという印象を持っているのは、その3冊の密度がとても濃いからなのだと思います。

いよいよクライマックスも近付いてきましたし、もはや見逃せない展開しか残っていません。(次巻のレビューはこちら)

『ガンバ!Fly high(7)』観客席でドラマが繰り広げられる珍しい展開(ネタバレ含む感想)

 

6巻のレビューでも散々言及したことですが、ガンバ!Fly highにおける福井県での全国大会のエピソードでは選手たちの演技は元より、観客席で繰り広げられる人間ドラマの盛り上がりが見所のひとつになっています。

通常、スポーツ漫画においては選手の競技こそが全てとは言わないまでもほとんどなのだと思いますが、このエピソードの見所の半分までは観客席と言えるほど観客席が面白いし、感動的なのです。

そして、この7巻では全国大会と同時に観客席のドラマもクライマックスを迎えます。

というわけで続いて嵐雲高校との対抗試合のエピソードが始まるのですが、これがまた今までの試合とは少し違っていて面白いですね。

全中の大会やジュニアの大会はイメージしやすいですが、学校同士の対抗試合というのもまた新鮮な展開ですし、1種目ずつ勝敗を決めていくというのも面白いところ。

また、相手が高校生であり、中学生である平成学園の体操部員たちがまだ経験の浅い種目でも戦わなければいけない状況も、何だかんだ準備万端で挑んできた今までとは違って面白いと思います。

何より、ここで堀田辰也という藤巻駿と同じ選手の視界が見える選手が初登場するのも見所です。

ちなみに、本編とはあまり関係がありませんが藤巻駿の母親や妹も登場してなかなか個性的なので注目してみてください。

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本作の概要

李軍団の所属する明青台中学も最後の鉄棒の演技を終え、最期は平成学園の鉄棒の演技を残すのみとなった全国大会。

鉄棒に関してはみんな以前よりも安定感を増している平成学園の選手たちは次々と順調に演技を終えていき、最後は種目別選手権で唯一李軍団に勝利している藤巻駿に委ねられます。

試合の結果もですが、その時観客席で何が起こるのか。それも見所のひとつになっています。

本作の見所

鉄棒からの落下と観客席のドラマの決着

藤巻駿は何だかんだで今までどの大会でも勝ってきています。

一番最初の地区大会は種目別を制していますし、種目別選手権でも平成学園が得点では敵わなかった李軍団にも藤巻駿の鉄棒だけは上回っていました。

その後の三バカ不在の地区大会も、途中で選手の入れ代わりという反則があったものの優勝していますし、反則そのものは白状してしまったものの全国大会に足を進めている時点で勝利と言えるでしょう。

そういう意味で藤巻駿が成績的な意味で敗北しているのは作品全体のプロローグであるド素人の状態で出場した大会だけですね。(笑)

なのでこの全国大会で後は最後の藤巻駿の鉄棒に結果が委ねられ、必要な得点も李軍団のものを少し上回るくらいという状況になった時点で、これは最後に藤巻駿が大活躍して終える流れなのかと、そのように思えたものです。

試合そのものもですが、観客席にいる相楽まり子の人間関係の問題も、何故か藤巻駿の演技に委ねられてしまっていますし、何より藤巻駿がそのことを意識しているので、今まで以上に勝ちたい気持ちは大きいはずですからね。

しかし、藤巻駿はまさかの鉄棒からの落下という、演技を再開したとしても優勝は不可能という痛恨のミスをしてしまいます。

これは恐らく、「勝ちたい」が「勝たなくてはいけない」になってしまい今までは純粋に体操を楽しんでいた精神状態とは違ってしまっていたことが原因なのでしょうか?

「・・見えない・・。藤巻クンの翼が・・見えないよ・・」

そして、相楽まり子はそのことに落下のミスの前から気付いていた節があります。

確かに、演技に挑む時の藤巻駿の表情が今までのものとは違いましたね。鉄棒以外の演技も、大きなミスこそありませんでしたが鬼気迫るものがありました。

それで実力以上の演技をしていたところもあるような気がしますが、その分リスクも負っていたというわけですね。

プレッシャーとリラックスのバランスがとても難しいということを示しているのでしょう。

しかし、藤巻駿が優勝を決めていたらそれはそれで相楽まり子の人間関係の改善のキッカケになったのかもしれませんが、この失敗こそがむしろ観客席のいざこざをより感動的な形で解決するキッカケにもなっていたと思います。

恐らく、最後まで相楽まり子との仲直りに踏み出さなかった秋場も本当はキッカケが欲しかったはずで、だからこそ本心では藤巻駿に頑張って欲しかったのだと思われます。だから自ら率先して落下した藤巻駿を応援してみせたのだと思いますが、その行動がまずは感動を呼びましたし、点数にはならない失敗した技のやり直しという勝利のためではない演技で藤巻駿は観客を沸かせることになったわけですね。

藤巻駿の母親と妹

作品にもよるでしょうけど、スポーツ漫画においては主人公の家族って地味な扱いのことが多いと思います。いるのかいないのか分からないくらいの(まあ当然いるのでしょうけど)存在感で、登場したとしてもスポットだけという感じでしょうか。

まあ、キャラクター漫画ではないですし、本筋とも関係ないことが多いので妥当といえば妥当な気もしますね。

そして、この7巻では珍しくメインキャラクターの家族。主人公である藤巻駿の母親と妹が登場します。

正直出ても出なくても良いキャラクターではあると思うのですけど、登場するだけで主人公そのものの人間味が増すような気がするので個人的には悪くないと思います。

嵐雲高校との対抗試合

今まで藤巻駿が出場してきた試合とは趣の異なる学校同士の対抗試合・・なのですが、相手がインターハイ優勝の強豪校。

インターハイ・・って、高校生じゃん!!

お忘れの方もいるかもしれませんのでおさらいしておきますが、藤巻駿たちは中学生です。いかにジュニアの大会で活躍した選手だったとしても、中学生と高校生では相当身体の出来上がり方が違っています。

その上、強豪校だとしたら試合をするまでもなく実力差は明白・・かと思いきや、最初の床の演技でまさかの勝利。

とはいえ、中学生では体操の全種目をやっているわけではないようですから、そこから見せた演技は散々なものとなりました。(笑)

しかし、初めてやるあん馬で藤巻駿が偶然にやって見せた高難度の技に、選手の視界が見える体操の天才・堀田辰也の闘争心が煽られます。

そこから、藤巻駿と堀田辰也の互いの視界を通した会話のようなものが始まるのですが、他人には理解できない天才同士のやり取りという感じでとても興味深いです。

総括

いかがでしたでしょうか?

藤巻駿が他の選手の視界を見ている描写は今までにもありましたが、それと同じことができる堀田辰也の登場と、二人だけの視界を通じたやり取りが始まって何だか面白くなってきましたね。

実はこれまでに登場してきているキャラクターの中にも、後に藤巻駿と日の丸を背負うことになるキャラクターは登場しているのですが、同世代の選手としてはこの堀田辰也の登場で出揃ったことになります。

未読の人は、他の誰がは藤巻駿の後の仲間になるのかを予想しながら読んでいっても面白いかもしれませんね。

『ダイの大冒険(18)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

最期の戦いの序章という感じの18巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイとハドラーの一騎打ちからのアバンの復活という最高潮の流れがひと段落したこともあって、まだまだ戦いは終わっていないにもかかわらず少しばかり盛り上がりが小休止した感じもあります。

とはいえ、まだまだラストまでいくつかの山があるので、そこに向かうまでの場をまた温めだしたというような雰囲気の展開ですね。

また、17巻ではアバンが復活しましたが、18巻では兵士ヒムにラーハルトも復活して、クライマックスの前にキャラクターの復活が続きます。

人気キャラを復活させたという感じなんでしょうかね?

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本作の概要

アバンが復活し、18巻では兵士ヒムやラーハルトも復活します。

一方で、今まで様々なキャラクターが登場と退場を繰り返していた中で、なぜか今までしぶとく生き残っていたザボエラは最期を迎えます。

本作の見所

アバンの緊張感

ダイの大冒険』のようなファンタジー作品、あるいはバトル作品において、本来なら緊張感があって然るべき場面でそれを感じさせない個性を持っているようなキャラクターが時折いたりしますが、アバンはまさにその典型ですよね。

「余が信じる強さとは全く異質の強さを感じる男・・それがアバンだ! 奴を生かしておけばダイたちアバンの使途の力が異常に増幅されそうな・・そんな気がする・・」

大魔王バーンの感じるアバンの異質さがそれなのかは分かりませんが、少なくともアバンの復活がアバンの使途たちに与えた影響はそれなりに大きそうな気がします。

「いやぁ~っ良かった良かった。こんな事もあろうかとピクニックセットをもってきておいて・・!」

このアバンのセリフ、閑話休題的なサブエピソード中のセリフじゃないですからね。(笑)

ラスボス大魔王バーンの総本山である大魔宮の通路で、レジャーシートを広げて可愛らしいお弁当まで取り出してきました。

休む時は休むというか、オンオフの切り替えが素晴らしいですね。

こういう一見緊張感が無さそうに見えるのに実は合理的な感じ、ダイがいくら強くなっても子供には出せない貫禄であるような気もします。

ダイの大冒険』にはアバンの他にこういうタイプのキャラクターはおらず、復活して登場しているだけで随分と雰囲気が変わるような気がしますね。

そして、そういう雰囲気の中に大魔王バーンが警戒する何かがあるのかもしれません。

ノヴァとロン・ベルク

ノヴァは初登場時から随分と印象が変わりましたね。

自分こそが真の勇者で唯一なのだとそう言って憚らない、責任感とプライドの同居したようなキャラクターでした。

しかし、誰が真の勇者なのかとかはさておき、ダイたちアバンの使途の実力を目の当たりにしてからは色々な表情を見せるようになりました。

プライドを粉々に砕かれ随分と凹んだ姿を見せていたところもありますが、その後は責任感だけが残った好印象のキャラクターになっていったような気がします。

「たとえボクが死んでも必ずみんなに何かを残せるはず・・!!」

ロン・ベルクに止められるくらいノヴァの行動は無茶なことのようですが、良い感じにプライドを責任感に転換して成長したようにも見えますね。

「・・オレは今の今までおまえを見損なっていた。感心すると同時にやはりどうあってもムダ死にさせたくなくなった・・!!」

それに対するロン・ベルクの行動がいいですね。

人が人を認める瞬間というのは、何度見ても心が打たれるものです。

そして、ノヴァの代わりに自らの両腕を犠牲に戦ったロン・ベルクに、ノヴァは今まで以上に心酔することになります。

たぶんノヴァを認めたということを示すために、まずは酒瓶の栓をあけるところからノヴァに指示を出すロン・ベルクでしたが、慣れていないのかなかなか栓を開けられないノヴァ。

「・・やれやれ、おまえにはまず、酒瓶の栓の開け方を教えなきゃならんようだな・・!」

呆れ、笑われて照れているノヴァが可愛らしいですね。

そんな感じで、ノヴァは登場頻度のわりには様々な表情を見せる愛嬌のあるキャラクターになっていったと思います。

兵士ヒムとラーハルトの復活

17巻ではアバンの復活にとても驚かされましたが、18巻ではハドラー親衛騎団のひとりである兵士ヒムが復活を果たします。

まさかの復活ラッシュに、各キャラクターのファンは喜びそうですよね!

まあ、さすがにアバン復活ほどのインパクトはありませんが、ラーハルトなんかはファンも多そうですしね。連載当時にどのキャラクターが人気があったのかとか、その辺のことは実はわかりませんけど、このタイミングでの復活はまあそういうことなんだろうと。

兵士ヒムも、17巻の時点でハドラーが良い味を出していたので、そんなハドラーの魂を宿らせたような形での復活はウケたのではないでしょうか?

・・なんてメタいことばかり言ってしまっていますが、こういう過去のキャラクターの再登場はいよいよ終わりが近いことを感じさせられます。(まあ、まだそこまで近くはないのですけど)

「オレが今! この手で殺したのだ!!・・したがってオレがこの鎧と魔槍を持っていてもだれも文句はあるまい・・?」

個人的には、最後のヒュンケルとラーハルトのやり取りが好きです。

過去の過ちから、そしてアバンの使途の長兄としての責任感から、いつも頑張りすぎ無理しすぎなところのあるヒュンケルを休ませるために、あえてヒュンケルにトドメを刺すようなことを言って、要は死んでいるのと同じなのだから休んでいろと言っているわけですね。

不器用なヒュンケルのための不器用な優しさという感じが良いと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

17巻までの盛り上がりは半端じゃなかったこともあって少々物足りなさもあった18巻でしたが、それはこの先クライマックスの山に向かってのまだ麓だから。

19巻以降は、大魔王バーンを含むラスボス級のキャラクターが活躍し始めるはずで、今から楽しみでしょうがないです。(次巻のレビューはこちら)

『ダイの大冒険(17)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

まさかのアバン再登場に沸く17巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイやポップ、アバンの使途たちの冒険のモチベーションにアバンの死が関わっていたのは間違いないと思います。

・・どころか、アバンの死は敵であるハドラーにすら影響を及ぼしていたのではないかと17巻におけるハドラーを見ていたら思わされますね。

そんなアバンが実はずっと生きていて、最終決戦を前に再登場するという展開。

ダイの大冒険』の中にも当然いくらかの驚きの展開というものはあったと思いますが、意表を突かれたという意味ではこのアバンの再登場こそが作中最大の驚きだったのではないかと思います。

また、死ぬ前にここぞとばかりに好感度を上げにかかるハドラーにも注目ですね。

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本作の概要

ダイとハドラーの異次元の死闘についに決着が着きます。

ノヴァとの訓練の中で編み出した新必殺技アバンストラッシュⅩは、しかしハドラーを完全に倒しきるには至らず、土壇場でダイの剣の鞘を利用して編み出した更なる新必殺技ギガストラッシュでついに決着しました。

宿敵同士の戦いですが、互いに理解が深まっていくような展開が見所です。

その結末はキルバーンによって水を差されダイたちはピンチに陥りますが、それを助けたのがまさかのハドラーで読者に驚きを与え・・その後アバンを再登場させ更に驚かせるという熱い展開。

アバンの腕に抱かれてハドラーが砕けるところはかなりの名シーンになってます。

本作の見所

ダイとハドラーの一騎打ちの決着

17巻の・・というか作品全体を通しても指折りの見所となる戦闘シーンですね。

思えば、勇者アバンに討伐されたかつての魔王として登場し、当時のダイたちには敵うわけもない強敵ではありましたが、ダイが竜の騎士であると知って以降は怯え続ける強者という小物っぽさもあるキャラクターでした。

それがプライドを捨て超魔生物になったことで、単純な戦闘力とは異なる別種の強さも備え付けたハドラー。

なんというか、ずっと敵なのにアバンの使途たちの成長に合わせて一緒に成長していくようなところもあったからか、どことなく親近感も芽生えてきますね。

ダイもそう感じていたからこそ、ハドラーとの一騎打ちに応じたのでしょう。ただただ超魔生物に身を落として強くなった「だけ」のハドラーであれば、ダイもここで一騎打ちに応じたりはしなかったのではないでしょうか?

ノヴァとの訓練の中で編み出した新必殺技アバンストラッシュⅩですら倒しきれないハドラーとの激闘に、それでも勝利したのはダイでした。

師匠であるアバンの必殺技であるアバンストラッシュ。

父親であるバランの必殺技であるギガブレイク

その二つを掛け合わせたかのような、ギガストラッシュを土壇場で編み出して決着を付ける展開が激熱ですね。

アバンの使途を助けるハドラー

「・・最期に・・せめてオレを倒したその腕にふれさせてくれ・・。オレの、この身体が灰となって朽ちてしまう前に・・!!」

ずっと敵同士で、卑劣な戦い方をしていた時期もあったハドラーですが、この最後の決着はとても綺麗なものでした・・が、それに水を差すように現れたのがキルバーンです。

死ぬ直前のハドラーに死闘の後で動けないダイをキルバーンの炎のトラップが襲い、咄嗟に飛び込んで炎を抑え込んだポップもまとめて焼き尽くそうとします。

しかし、ポップは炎を抑え込むのが精いっぱいだし、外からこのトラップを破ることもできません。

そんな大ピンチの中諦めそうになるポップを・・

「最後の最後まで絶望しない強い心こそがアバンの使途の最大の武器ではなかったのかっ!!」

叱咤したのはまさかのハドラー。

そして、その後ポップがメドローアを打つ隙を作るために自らが身体を張ります。

死ぬ直前とはいえ、最後の最後にハドラーがアバンの使途を助ける展開が激熱で、ハドラーが今までで一番輝いています。

「・・悪りィ・・あんたに・・見とれちまった・・」

そんなハドラーに、死地で見とれてしまったポップはキルバーンのトラップから抜け出すことに失敗してしまいます。

しかし、それはそれとしてとても素敵な展開だと思いました。

アバンの再登場

さて、これでハドラーもポップも燃え尽きてしまったのかといえばそうではありません。

「・・困りますよポップ。勝手に”あの世”なんかに行かれちゃ・・。・・そんな所へ行っても・・私はいません・・!」

アバン先生のいる"あの世"へと生を諦めたポップにそう声を掛けながら、助けに現れたのはまさかのアバンでした。

一番最初に死んだはずの主人公の師匠。

そんなキャラクターの再登場は、作中でももしかしたら最大の驚きかもしれませんね。

「おまえたち人間の神というのも・・中々粋なやつのようだぞ・・。・・オレの・・生命とひきかえに・・。オレがかつて奪った大切な者を・・おまえたちに返してくれた・・」

アバンと戦った時とは別人のハドラーは、宿敵アバンの弟子たちを称え、最期にアバンの腕の中で死んでいきました。

確かに、考えてみればアバン再登場のタイミングがこれ以上ないくらいに運命的でしたね。

総括

いかがでしたでしょうか?

実は今までアバンが修行していただけでずっと生きていたという展開は驚きでしたが、最終決戦を前にとても心強いと感じさせられる展開ですよね。

ダイをはじめとするアバンの使途たちは強くなりましたし、わざと反感を買うためにヒュンケルが言ったことは、しかし純然たる事実でもあったと思います。

とはいえ、教え導く立場の人間ってその実力云々とは無関係に心強いものですし、どうやら早い段階からダイたちと肩を並べて戦う資格が自分には無いと感じていたらしいアバンが再登場したことの意味。つまりは肩を並べて戦う資格を得たとアバン自身が思っていることに他なりません。

アバンの使途もですが、今後はアバンの活躍にも注目できそうですね。(次巻のレビューはこちら)

『ダイの大冒険(16)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

ハドラーたちとアバンの使途の先頭が見所の16巻です。(前巻のレビューはこちら )

超魔生物になったことで先の長くないことを悟るハドラーが望むのはダイとの一騎打ちで、それをお膳立てするように始まるハドラー親衛騎団とアバンの使途たちとの戦闘が始まります。

既にハドラー親衛騎団がかなりの実力者揃いであることは周知の事実ですが、ポップやマァムがそれに単騎で相対する展開が激熱です。

また、前巻から問題になっていたミナカトールの発動問題の結果、果たしてポップが魂の力を発揮することができるのかも見所です。

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本作の概要

ダイ、まさかの土中からの登場。(笑)

それでヒュンケルとクロコダインを救出し、アバンの使途の5人でついにミナカトールを完成させ、大魔宮に再び乗り込みます。

しかし、そこに待ち受けていたのはハドラーとその親衛騎団たち。

超魔生物に進化して後の無いハドラーはダイとの一騎打ちを望み、ダイはそれに応えようとします。

本作の見所

ロン・ベルクが格好良い

ロン・ベルクといえば、ダイの剣を打った凄腕の鍛冶師で渋くて格好良いキャラクターだとは思っていましたけど、16巻における格好良さはまた格別でしたね。

過去の大魔王バーンとのやり取り、顔の十字キズがミストバーンによって付けられたことも明らかになりますが、あえて甘んじて受けたシーンが渋くて格好良いです。

そして、アバンの使途たちがミナカトールのため戦闘に参加できないさなかミストバーンを相手取ってハイレベルな戦闘を繰り広げます。

アバンの使途は最年長のヒュンケルも含めてかなり若いので、渋い大人の格好良さがあるキャラクターは実は少ないので、そういう意味ではロン・ベルクの渋さのある格好良さは『ダイの大冒険』においては新鮮だなぁと感じました。

ポップの魂の力

16巻の最大の見所はなんといってもハドラーとダイの一騎打ち・・だとは思うのですけど、個人的にはポップがミナカトールでアバンのしるしを光らせるシーンを推したいです。

他の4人のアバンの使途はすんなりとアバンのしるしを光らせたのに、ポップだけはなかなか光らせることはできません。

「こっ・・このままおれが逃げ出しちまえば、おまえらだってこの場にいつづけたりゃあしねえだろう?」

そして、ついにポップはその場から逃げ出してしまうのですが・・

その隙をついてのポップを狙ったザボエラの攻撃から、なんとメルルがポップを庇って犠牲になってしまいます。

しかし、メルルの見せた勇気に触れてポップは勇気を得ます。

そして、ポップは勇気の魂の力を以ってアバンのしるしを光らせることができました。

賢者になってメルルを回復し、再びミナカトールに挑みます。

「・・この・・"勇気"の光は・・メルルのもんだ・・! おれなんかより彼女のほうが何倍も勇敢だったっ・・!!」

15巻のレビューでも語りましたが、勇気の魂の力を持つのがダイではなくポップであることが、ポップというキャラクターの特性をよく表しているような気がします。

弱さがあるからこそ勇敢な行動には勇気が必要なのだと、そう思わされますね。

ハドラーとダイの一騎打ち

「ハドラーはきっともう助からないんだ。ダメージがたちまち治るはずの超魔生物なのに傷がそのままだ・・」

大魔宮に乗り込んだ後に待ち受けていたのはハドラーですが、ダイたちからすれば手段を選んでいる場合でもないハズの状況です。

もう先は長くないハドラーが最後の一騎打ちの相手にダイを選んだからといって、素直にそれに従う必要は無かったはずなのですが、ダイが一緒に協力して戦おうというレオナを制止してハドラーの一騎打ちに応じるところが熱いですね。

「・・もう・・!! いつの間にこんな大人っぽい顔するようになったのよ! コイツったら・・!!」

そんな場合じゃないだろうと思いつつ、ちょっと大人っぽい表情を見せたダイを見守る感じのレオナが珍しくメインヒロインをしていました。(笑)

アバンの使途とハドラー親衛騎団

意外と他のアバンの使途に比べて戦闘シーンの少ないマァムですが、16巻ではハドラー親衛騎団の中でも唯一の女性的なフォルムのアルビナスと相対します。

相手の力を利用するようなトリッキーな方法で相手の動きを制限し、それで勝利する戦い方がとても格好良いです。

それにポップと、メドローアを跳ね返す手段を持つシグマの戦闘もまた面白い。

ポップの立場からすればメドローアを当てれば勝ち、シグマの立場からすればメドローアさえ食らわなければほぼ勝ちという分かりやすい構図の戦闘ですが、メドローアを当てるための駆け引きが、力と力のぶつかり合いだけではない戦闘という感じで面白いんですよね。

メドローアに似せたベギラマを全力を以ってシグマに当てようと命中させようとし、しかし外して自分に当たってしまったように見せかけ、その上で本物のメドローアを油断したシグマに命中させるという化かし合い。

ダイの大冒険』においてはこの手の化かし合いのような戦闘は少ないので、とても新鮮に感じられます。

総括

いかがでしたでしょうか?

ポップが物語の中で急成長していく格好良いキャラクターであることは当然覚えていましたが、16巻のポップは本当に格好良いですね。

逃げ腰なところも目立つキャラクターなので、ここまで格好良かったかと不思議に感じてしまいます。(笑)

ハドラー親衛騎団との戦いは次々と決着していきますが、そろそろダイとハドラーの一騎打ちの決着も気になるところですね。(次巻のレビューはこちら)

『いじめるヤバイ奴(5)』白咲さんの思わせぶりな行動が気になる!(ネタバレ含む感想)

 

この内容で5巻まで到達するとは・・

それに、まだまだ続きそうな雰囲気だとは・・

いや、正直オモシロくてついつい新巻を手に取ってしまうんですけど、それはいじめるヤバイ奴という漫画が持つ圧倒的な個性のなせる技なんでしょうね。

どんなに面白い名作も、どんなに誰にもマネできない個性を放っていたとしても、あまりにも大量のフィクション作品が溢れる世の中にあっては大抵の場合、どこかに似たような作品があるものです。

「〇〇という作品に〇〇な要素を足した感じ」とか「〇〇が好きな人にはオススメ!」とか、そういう感じで既知の作品になぞらえて評価してしまいがちなところ。

しかし、いじめるヤバイ奴には思い当たる既知の作品は存在しません。僕が知らないだけであるのかもしれませんが、相当色々な作品を読んでいる僕も知らないので珍しいことは間違いないでしょう。

だからこそ今まで数多の作家によって積み重ねられたお約束も通用しない部分もありそうで、それなのに独特な個性を広げていけるのは凄いなぁ~と素直に思います。

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本作の概要

仲島くんにとって、自分の身を守ることに直接つながる白咲さんのいじめは最優先事項です。しかし、そこに緑田さんを守ることも並行しなければいけなくなってお疲れの様子です。

そんな中、生徒会副会長による娯楽的ないじめが明らかになります。

仲島くんをいじめ加害者としてさらし者にしようとする生徒会副会長と、それを阻止しようとする仲島くんたちの奮闘が描かれています。

本作の見所

変わりすぎた加藤くん

加藤くんといえば2巻から4巻までにおける仲島くんの対抗馬。言動だけなら白咲さん以上にヤバイいじめっ子でしたが、白咲さんに敗北したことによりいじめっ子としては再起不能なくらいに心が折られてしまいました。

・・が、いくら何でも変わりすぎだろ!(笑)

白髪になり、どこかゲッソリとしていて心なしか体も小さくなっている。表情に覇気は無く杖が無ければ歩けなさそうな満身創痍。

圧倒的な強者感は完全になりを潜めています。

というか、こういうタイプのキャラクターって物語的に敗北した時点でほとんど登場しなくなるか、心強い味方として再登場するかのどちらかのパターンが多いと思うのですけど、まさか心が折られてギャグのように変わってしまった姿でメインストーリーに関わってくるとは意外でした。

ドラゴンボールでいえば「まさかフリーザが仲間に!? ただし上半身だけ」みたいな感じですもんね。(笑)

なんかもう新キャラが登場したくらいの新鮮さで物語に関わってくる加藤くんがマジで面白いです。

生徒会副会長によるいじめ

仲島くんの学校、生徒も教師もヤバイ奴多すぎでしょ・・

なんというか、こういう学園もの作品において白々しいくらいに良いヤツに見えるのに目が笑ってないタイプのキャラクターが登場したら、大抵の場合は何か悪いことしているものですけど、やっぱりやってましたね。

それもいじめの質が陰湿なのにとてもハードな感じ。首謀は副会長らしいですが、どうやら生徒会ぐるみのいじめになっていて加害者が複数いるのは新しいパターンといえますでしょうか。

薩長同盟

生徒会はどうやら自分のいじめのターゲットである緑田さんをいじめている仲島くんが気に入らないらしく、ミスターコンに仲島くんを出場させ、そこでいじめ加害者としてさらし者にしようとしている・・ということを盗み聞きしていた加藤くんから仲島くんに伝わります。

加藤くんの目的は、どうやら騙されていることに気付かずに副会長を信頼している田中くんを助けたいというところにあるようですが、そのために仲島くんには副会長を返り討ちにしてほしいようですね。

「俺が長州の木戸孝允、加藤が仲介役の坂本龍馬、お前が薩摩の西郷隆盛だよ」

田中くんからしたらいじめっ子である仲島くんは許されざる敵ですが、組織的ないじめっ子である生徒会を打倒するための一時休戦を仲島くんは提案します。

仲島くん、加藤くん、田中くん、これまでの物語からどう考えても一枚岩にならなさそうな3人が手を組む展開ですが、これがどのように進行していくのか、まあ生徒会は打倒するのでしょうけど、その後どうなるのか?

その辺が今後気になるところですよね。

いつもと様子が違う白咲さん

1巻から4巻までは、程度の差こそあれ相当に狂気的なヤバさを何かしら見せてきた白咲さんですが、今巻では少々控えめにヤバイです。

・・控えめですと書こうとしたら、ナチュラルに控えめにヤバイと書いてしまった。(笑)

いや、ヤバイことには変わりないんですもん。

「ところで仲島、明日から2日間いじめは休んでいいよ」

見せかけとはいえ、いじめ被害者から加害者に対するいじめ休んでいいよ宣言。普通では聞くことのないパワーワードですね。(笑)

ともあれ、思わず仲島くんも聞き返してしまうくらい意外な展開ですが、仲島くんはいじめをしなくて良い日々を満喫しているものの、白咲さんの行動はむしろ何だか不気味ですよね。

生徒会によるいじめを知った後の行動なのも気になりますけど、一体何を考えているのだか・・

総括

いかがでしたでしょうか?

相変わらず白咲さんが強烈にヤバいですよね・・って言おうとしたら5巻における白咲さんの存在感は若干空気でしたね。(笑)

とはいえ、増えてきた他のキャラクターに食われてしまっているとか、そういうわけではありません。

仲島くんのいじめをお休みして裏側で何やら暗躍しているようなのですが、一体何をしているのかがとても気になるところですね。

『ダイの大冒険(15)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

バトル成分少な目な15巻です。(前巻のレビューはこちら )

14巻では大魔王バーンの圧倒的な力量を見せつけられるバトル盛り沢山な内容でしたが、15巻は大きなバトルを終えて閑話休題というか、次に向けての決意が描かれるような内容になっています。

最も勇敢な者が勇者なのだと思いますが、そんな勇者であるはずのダイが珍しく戦いから逃げ出してしまいたいと思っているような様子が描かれています。

最初敵対していたのに分かり合えそうになった父親バランを亡くし、その亡骸は大魔王バーンに燃やされ、その大魔王バーンにはダイの力が通用しない。

そんな大敗北に、さすがの勇者も心を折られかけてしまいます。

そんなところから立ち直るダイに、自分だけ特別ではないことに悩むポップ、5人目のアバンの使途として破邪の洞窟に挑むレオナ。

いよいよ終盤の始まりであることを意識させられる内容になってきています。

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本作の概要

聖母竜に死んだと告げられたダイは、しかしバランの進言もあって一命をとりとめました。

しかし、傷心のダイはさすがに心を折られかけ、珍しく戦いから逃げ出そうとしてしまいます。

心機一転した次の戦いへ向けての閑話休題的な物語展開になっていますが、一方で五人目のアバンの使途となるべく試練に挑むレオナの姿も描かれています。

本作の見所

逃げ出すダイ

勇者とは、どんな恐れにも立ち向かう勇敢な者を指す言葉だと思います。

しかし、次の16巻のネタバレになってしまいますが、勇気の魂の力を持つのはダイではなくポップだったりします。

確かに、ダイは今までも勇敢に敵に立ち向かったり、他の者を奮い立たせる言動を見せてきました。

しかし、一方で怖いと逃げ出すような素振りを見せることはほとんど無かったと思います。

恐れのない言動が果たして勇敢だと言えるのか?

そう考えると、確かにダイではなくポップこそが勇気の魂の力を持っているというのは納得の結果だと思います。

そして、ダイにあるのは勇気ではなく、これもネタバレになりますが純粋の魂の力だったりします。

純粋だからこそ、誰かを助けたいという気持ちや怒りという感情に素直に従い、それが誰よりも勇敢に敵に立ち向かう姿に繋がっていたのだと思われます。

純粋な勇気は、何らかの意図の含まれる勇気よりずっと強いということなのだと、だからこそダイは主人公で勇者なのかもしれませんね。

しかし、純粋であるが故にその方向性がズレた時というのがダイの弱点なのかもしれません。

作中でそういうダイが描かれることはありませんでしたが、例えば純粋に悪の方向へ向かうような可能性も秘めているわけですからね。

そして、前置きが長くなりましたが、この15巻では初めて戦いへの重圧と恐怖を感じて逃げ出してしまうダイが描かれています。

「・・ど・・どうしてみんなおれに無理なことをさせようとするんだ・・!!? 父さんも・・レオナたちも・・!!! もうおれの力なんかじゃどうしようもないのにっ・・!! ・・おれはみんなが思っているほど強くも偉くもないんだっ・・!!!」

味方の中では最も強いからこそ挫折を知らないダイは、しかし大魔王バーンの力に触れて心が折られてしまいました。

ポップの場合、こうやって逃げ出すようなことがあった昔でも、最後には自分の意思で戦いの場に戻ってくる勇気がありました。

しかし、ダイの場合は純粋に恐怖の感情に従っていて、戦いの場に戻る葛藤すらほとんどありません。

それもダイの魂の力が勇気ではなく純粋であることを示していますね。

「・・だがな! おれはおまえがいなくてももう一度・・大魔王と戦うぜっ・・!!」

目の前で父親であるバランを燃やされ、その姿に未来の自分を重ねていたダイに向けたポップの言葉。ダイはバランの死で心を折られたが、自分はダイが不在でも心が折られることは無いという宣言に聞こえます。

ポップは真っ先に逃げ出したダイを見つけ、しかし他の味方と違ってダイに戦いを強要するような発言を実はしていません。

それはある意味では勇者ダイの力と心を盲信してしまっている他の味方キャラとは違って、ただただ自分自身の決意をダイに語って見せただけです。

そして、その勇気がダイに伝わったのか、ダイは再び戦う勇気を取り戻します。

勇者に勇気を与えたポップは、ある意味では本当の勇者なのかもしれませんね。

5人目のアバンの使途

「・・あとひとり・・ミナカトールを使える五人目のアバンの使途が必要なのです・・!!!」

大魔宮に乗り込むために必要なミナカトールを使うためには、五人のアバンの使途が必要らしいですが・・

ダイ、ポップ、マァム、ヒュンケル。

アバンの使途は四人しかいません。

・・足りないじゃん!

と、思うかもしれませんが、フローラはちゃんと五人目にあたりを付けていました。

まあ、その人選に意外な部分は実のところなく、パプニカの王女レオナが選ばれました。アバンの使途でこそありませんでしたが、アバンの使途たちと一緒に戦ってきた仲間というイメージが強いキャラクターで、何より一応は本作品のメインヒロインですからね。

そして、そんなレオナがミナカトールを身に付けるために破邪の洞窟に挑む。女性4人だけの冒険という『ダイの大冒険』においては珍しいエピソードも15巻の見所のひとつになっています。

ポップの悩み

レオナがミナカトールを発動するためには、5人のアバンの使途がそれぞれの魂の力をもってアバンのしるしを光らせる必要があるようです。

それをふとした拍子に盗み聞きしたポップは自分のアバンのしるしを光らせようとしますが、それがなかなか光らせることができません。

「・・おれだけがっ・・。・・おれだけがみんなと違うっ・・!!」

ダイは竜の騎士。

マァムはアバンの戦友の娘。

ヒュンケルは幼い頃からアバンの訓練を受けており、レオナは王女様。

しかし、ポップは武器屋の息子でしかなく、他の4人に比べて特別な何かがあるかといえば確かにそんなことはありません。

・・なんてことを改めて意識させられると、そりゃあへこみますよね。

それでアバンのしるしがちゃんと光るのなら良いですが、自分だけ光らないとなれば、たとえそれが必ずしも必要なことでなかったとしても自分の存在価値に悩みそうなものです。

しかも、それは今回の場合絶対に必要なことなのですから尚更ですね。

結局、アバンのしるしは光らせることはできないままにヒュンケルとクロコダインの救出作戦が始まってしまうのですが、さてポップはぶっつけ本番でアバンのしるしを光らせミナカトールを発動させることはできるのか。それが今後の気になる部分ですね。

総括

いかがでしたでしょうか?

さて、自力でピンチを切り抜けたヒュンケルの元に、ついにダイが登場したところで15巻は終わりです。

15巻は少々バトル成分少な目だったので、この後また迫力ある戦闘シーンに突入しそうで本当に楽しみですね。(次巻のレビューはこちら)

『ダイの大冒険(14)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

バーンの実力の一端を見せる14巻です。(前巻のレビューはこちら )

ダイの大冒険』という作品は、よくよく考えるとこの規模で有名な人気作にも関わらず、意外と誰もが知っている名台詞みたいなのが少ないような気がします。

名台詞があることが名作であることとイコールなわけではないので、そういうこともあるかもしれませんが、どうしても意外な気もします。

だけど意外なキャラクターによって発せられたセリフが『ダイの大冒険』という作品においてはとても有名ですよね?

その作品において最も印象深い名台詞は、主人公やヒロイン、師匠ポジのキャラクターも定番でしょう。そうでなくてもそれに準ずるキャラクターによって発せられることがほとんどである気がします。

なのでこの14巻で意外なキャラクター、ラスボスである大魔王バーンが発したセリフが最も印象深いセリフとして記憶に残っているのがとても意外に感じられます。

そんなセリフにもですが、ついに大魔王バーンが圧倒的な実力を垣間見せるところにも注目ですね。

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本作の概要

大爆発した黒の核晶を命がけで抑え込んだバラン。竜の騎士といえでもさすがに間近での大爆発に耐え切れずに命を落としてしまいます。

そしてついに姿を現した大魔宮で、ダイたちはついに大魔王バーンと邂逅することになります。

ダイをはじめアバンの使途たちは相当実力を付けてきたはずですが、しかし大魔王バーンの圧倒的な実力を前に大苦戦を強いられることになります。

本作の見所

バランの死

ポップにしろヒュンケルにしろ、敵キャラだとハドラーにしろ、よくよく考えると『ダイの大冒険』のキャラクターって死にそうになる奴は多いけど本当に死ぬ奴って意外と少ない。

そんな中、とても強キャラ感のあったバランが、息子であるダイと共闘するという、緊張感がありつつもある意味ではホッコリする部分もあるエピソードで命を落とすというのはかなり衝撃的でした。

初めてバランを父と仰ぐダイとの最後のやり取りがとても感動的でしたが、それ以上に悲しいシーンだと思いました。

メラだ

「・・今のはメラゾーマでは無い・・。メラだ・・」

バランの亡骸を燃やし尽くし、ポップのメラゾーマを跳ね返した小さな火の粉。大魔王バーンメラゾーマの威力に戦慄したポップに向けられたバーンのセリフですね。

あまりに高い威力だったものだから最下位の魔法であるメラを最上位の魔法であるメラゾーマと勘違いするというあまりにも単純なシーンではありますが、汎用性が低いわりに記憶に残っている人が多いセリフなのではないでしょうか?

この14巻では大魔王バーンの圧倒的な実力が描かれているわけですが、他のどのシーンよりもこのセリフが全てを代弁していると思ってしまうくらい。

ダイの大冒険』という作品を読んだことが無い人も、何かしらの形でこのセリフだけは知っているのではないかと思われるくらいの名シーンでした。

大魔王バーンの実力

個人的には最初にバランがダイたちに敵対した時の強敵感が好きなのですが、やはりラスボスなだけあって大魔王バーンとの初戦闘シーンほど相手が強く、味方が無力に感じられるシーンは他に無いと思います。

魔界に太陽の光を降り注がせるために、邪魔な天井である地上を消し去るのが目的の大魔王バーンは、ポップの言うように地上を天井のフタくらいにしか思っていません。

人間が邪魔な害虫の巣を駆除するくらいの感覚でしかなさそうな様子です。

そして、実際にそれだけの実力差があって、少し遊びを入れるにしても駆除できることは確定事項だと思っている様子が垣間見えます。

カウンターの一撃でダイの意識を奪い、恐ろしい威力の攻撃魔法、ダメージを与えてもすぐに回復してしまうし、ポップのメドローアマホカンタで跳ね返されてしまいます。

バランにあったのは強敵感ですが、大魔王バーンにあるのはチート感かもしれませんね。(笑)

その上、愛用の武器である光魔の杖を持ち出し自らの圧倒的な魔力を攻撃力に転換し、ダイの剣にも打ち勝ってしまいます。

そんな中、アバンの使途たちを助けに現れたのはあまりにも意外な人物。それはどうやら黒の核晶の爆発に耐えたらしいハドラーでした。

「味方をしたわけではない! 私は自分以外の者にダイたちを殺されたくなかっただけだ」

「最初自分以外に殺させようとしてたやん!」って思わずツッコミたくなりましたが、ともかく助けに現れる人物としてはあまりにも意外なキャラクターでしたね。

まあ、ハドラーも大魔王バーンには苦戦するわけなのですが、少し弱っているらしいバーンを相手にブロックの犠牲もあって、ひとまずアバンの使途もハドラーたちもその場から退避することに成功しました。

総括

いかがでしたでしょうか?

大魔王バーンが圧倒的すぎますよね。しかも、この先のネタバレになってしまいますが、今の大魔王バーンが発揮している実力は完全なものではありません。

まあ、ドラクエの大魔王が最初から本領を発揮していることなんて稀ですし、それと同じですよね。

これから先の展開は、長い長いクライマックスという感じなので、どこも目が離せないようになってきます。(次巻のレビューはこちら)

【2019年版】今年発売の漫画で最も面白い作品は何!? オススメ15選

 

今年は平成最後の年でもあり、令和最初の年でもあります。

そんな節目の2019年も暮れていく今日この頃ですが、今年も数々の新しい漫画作品が誕生しています。

本記事では、今年誕生した漫画作品の中から個人的に最も面白いと感じた作品をランキング形式で紹介したいと思います。

正直順位付けするのも憚れるくらいどれも面白い作品ではありますし、あくまでも私的な順位付けなので「なんでこの作品が無いんだ?」と思われる部分や納得のいかない部分もあると思います。

まあ、今年僕が面白いと感じた作品を改めて「こんな作品が面白かったよ~」と紹介したいだけの私的ランキングなので、軽い気持ちで読んでくれたら幸いです。

知ってる作品なら「確かにコレ面白かった~」と共感してくれたら、知らない作品なら「へ~こんな作品が面白いんだ~」と興味を持ってくれたら、本記事の筆者の僕としてはとても嬉しいです!

ちなみに、中には2018年以前に連載開始している作品もありますが、ルールとして1巻の発売日が2019年である作品を対象にしているだけなのでご了承ください。

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15.いとなみいとなめず

年の差恋愛を描いた作品がここ数年増加傾向にある気がしますが、本作品もまさに年の差恋愛を描いた作品ですね。

とはいえ、最近多いのはどちらかといえば女性が年上のケースなので、男性が年上となる本作品は、どちらかといえばこちらの方が普通であるはずなのに、何故か新鮮さを感じさせられます。

一目惚れした女性が女子高生であると知らずに勢いでプロポーズしてしまったところから始まる物語ですが、倫理的な観点で高校を卒業して結婚するまでは通常よりずっと清い付き合いをしていたこともあって、相当な初々しさのある新婚生活が始まるという展開になっています。

ファンタジーな要素や、驚きの展開があるような作品でこそありませんが、初々しい主人公とヒロインがとても可愛らしく、読んでいてほのぼのとした気持ちにさせられる作品でした。

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14.いじめるヤバイ奴

いじめをテーマにした作品は少ないものの一定数存在します。しかし、本作品はそんな中でも全く新しいジャンルの作品なのではないかと思いました。

タイトル通り、いじめるヤバイ奴が登場する作品ではありますが、主人公であるいじめるヤバイ奴が一番の被害者に見えてしまうのが面白いところ。

いじめられっ子であるヒロインが、実は主人公に凶悪ないじめを強要するサイコパスな女の子であるのがこの作品の面白いところ。

ちゃんといじめなければ、恐ろしいお仕置きが待っている。だからちゃんといじめなければ。そんな見たことのない恐怖と戦っている主人公が独特な作品となります。

正直読む人を選ぶ作品ではありますが、今まで読んだことのない作品を読んでみたいという人には特にオススメかもしれません。

僕にとっても、どちらかといえば好みの作品というわけではないタイプの作品ではありますが、あまりにも独特な中毒性があるのでついつい最新巻も手に取ってしまいます。

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13.可愛いだけじゃない式守さん

個性的なキャラクターを前面に押し出すタイプの作品は、瞬発力のある面白さがあるものの、キャラクターの個性だけで持っている印象の拭えない作品も少なくありません。

しかし、本作品はタイトル通り可愛いだけじゃない式守さんのキャラクター性を前面に押し出しつつも、飽きさせない面白さのある作品だと思います。

格好良い女子を描いた作品はとても多いですが、大抵の場合こういうキャラクターは普段は凛としていたり、男勝りだったりするところがある中に、時折見せる女性らしい可愛らしさが魅力的だったりするものです。

しかし、本作品の式守さんの場合はその逆。普段は女性的で可愛らしいのに時折見せる格好良い表情や姿が魅力的なんですよね。

時たま格好良い姿を見せるからこそ普段の可愛らしさが際立つというか、そんな印象のキャラクターなのです。

ストーリー的にはそこそこありきたりな学園ものなので、人によっては退屈に感じられるかもしれませんが、ちょっと珍しい魅力のあるキャラクターが拝めるので一読の価値ありだと思います。

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12.壁ドン!

壁ドンと言っても、うるさい隣人とのトラブルのことでも、男女のイチャイチャのことでもありませんよ?(笑)

本作品は、いわゆるボルダリングを主題としたスポーツ漫画になります。

今年の新作ではありませんが近年だといわかける!など、ボルダリングの漫画が目立つようになってきた印象がありますね。

来年2020年の東京五輪で正式種目になったことで注目度の高まっている競技ですが、それがフィクション作品の世界にも反映されているのかもしれません。

まだまだ日本人にとってそこまで馴染み深い競技というわけでもありませんが、だからこそ東京五輪に向けてどのような競技なのか、漫画を通して予習してみるのも面白いのではないかと思います。

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11.ムーンランド

スポーツ漫画が続きますが、こちらは体操漫画となります。

体操漫画といえばどうしてもガンバ!Fly highが絶対的なレジェンドとして君臨しているイメージが強く、考えてみれば他の体操漫画ってほぼ見かけたことがないレベルで珍しいような気がします。

本作品は主人公が競技に臨む姿勢が独特で、非常に個性的で面白い漫画だと思います。

通常スポーツ漫画では、やっぱり競技に臨む以上は勝ちたいと主人公は思っていて、それに向かって突き進むものです。

しかし、本作品の主人公の場合は「自分の意思通り体を動かせるようになること」を目指していて、その手段として体操をしているだけなので試合に勝ちたいと思うどころか出場したいとも思わないようです。

他とは違うモチベーションを持っているからこそ発揮される個性が、どんな風に演技に反映されていくのかが興味深い作品だと思います。

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10.映写室のわかばさん

ちょっと珍しい映写技師という職業にスポットを当てた作品となります。

珍しいどころか、近年ではほとんどの映画館でフィルムを回すようなことはしないそうで、滅びゆく職業のひとつだそうですね。

とはいえ、映画館の客席の後ろからカタカタとフィルムを回す音が聞こえるイメージは、実際に聞いたことはないかもしれないのに根強いもので、何だか興味深い職業だという気もします。

これもイメージでしかありませんが、気難しい職人気質のおじいさんとかがフィルム回しているイメージもあるのですが、本作品ではわかばさんという若い女性がフィルムを回しています。

若干コミュ障気味なクールビューティーわかばさんですが、映写室の中でコロコロ変わる表情は可愛らしいです。

そんな仕事中のわかばさんをただただ見守るような漫画ではありますが、その雰囲気が素敵な作品だと思います。

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9.妻、小学生になる。

主人公の亡くなった奥さんが、近所の小学生に転生していてふとした拍子に前世の記憶を思い出し、元旦那と交流を深めていくという物語になります。

転生した知人が目の前に現れるという設定も、奥さんや母親が亡くなっているという設定も、まあありきたりといえばありきたりなのですが、そういうありきたりを露骨に前面に押し出したような作品が近年は増えた気がしますね。

人によっては軽い作品に感じられるところもあるかもしれませんが、個人的にはこういうのも分かりやすくて好きです。

また、ヒロインの小学生女子としての姿と、奥さんまたは母親としての姿。二つの姿のギャップが面白い作品でもあります。

生まれ変わって別人になっても変わらず奥さんを愛する主人公のキャラクターも、小学生女子を愛する姿だけを見ればドン引きですが、ある意味奥さんの内面を愛していた人なのだと思うと格好良いオジサンだと思います。

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8.異世界おじさん

近年流行りの異世界転生・転移ものの作品からの派生ジャンルですが、異世界から帰ってきた後の姿が描かれているのが面白い作品です。

また、異世界から帰還した主人公が異世界転移してしまった時期が今から17年前で、つまりは現在ほど異世界転生・転移もののお約束が浸透していない時期だったというのが興味深いところ。

要は、お約束を知らない主人公だから、フラグをフラグと知らずにへし折っていったり、今なら明らかに主人公に好意を持っていると察せられるツンデレヒロインが早すぎたマリベル状態になってしまっていたり、そういう世代のギャップを敢えて作ることで面白さを創出しているのが楽しい。

異世界からの帰還者という設定だけでも面白いのに、17年の時を経た元の世界が異世界とは言わないまでも相当違う異世界になっているから、ある意味二度の異世界転移をしているような状態になっているのが面白い作品です。

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7.TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには

いわゆる俺TUEEE系の作品で、そういう作品は大抵の場合はとても爽快さの伴う一定の面白さがあるものの、かといって一種のテンプレになってしまっているのでグッとくる何かというか、個性に欠けるところがあるのは否めません。

しかし、本作品には他の俺TUEEE系の作品とは異なる面白さがあります。

それは、主人公視点で圧倒的な力量を振りかざす爽快さがあるわけなのではなく、何でこの主人公はこんなに強いのだという謎に迫っていく周囲にこそ面白さがあって、それが他の俺TUEEE系の作品とは違っている部分なのだと感じました。

いずれにしてもストーリーに深い意味がありそうな作品ではないので、今回紹介した作品の中では最も深く考えずに手軽に爽快さを得やすい作品なのではないかと思います。

ちなみに、もともとは電子書籍でのみ販売されていた作品ですが、最近紙媒体でも1巻が発売されているので、電子書籍が苦手な人でも楽しめるようになっています。

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6.私以外人類全員百合

タイトルからは分かりづらいですが、結構ガッツリとしたSF作品となります。

百合百合しい日常系の物語を想像して読み始める人が多そうな作品ですが、それだと少し驚くかもしれません。

印象としては、いわゆる並行世界もののSF作品に百合的な要素を加えたような作品だと僕は感じました。

タイトルや可愛らしい絵柄の雰囲気とは違い、かなり考察しがいのあるという点で面白い作品になっています。

そういう意味では、百合百合しい日常系の作品が好きな人にも、ガッツリSF系の作品が好きな人にも、どちらにもオススメできる作品なのではないかと思います。

主人公が元いた世界とは別世界が舞台になっている点では流行りの異世界ものに近いところもありますが、よく似ているけどどこか違う世界の方がある意味不気味だなぁと考えさせられました。

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5.鬼島さんと山田さん

大人、社会人の恋愛を描いた作品が近年増えていると思いますが、そこにちょっとしたSF要素を加えたような作品となります。

それは、主人公には他人の心の声が聞こえるという要素となります。

この手の作品は過去にもありましたが、他人の心の声が聞こえる能力には使える者自身の苦悩や迫害、または悪用といったダークな要素として使われることが多いような気がします。

しかし、本作品の場合はこの能力の使われ方がとても爽やかで可愛らしい。それが最大の魅力の作品だと思います。

基本的には普通のラブコメなのですが、爽やかで可愛らしい雰囲気に心の声が聞こえる能力がちょっとしたアクセントになっているところが面白い作品です。

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4.冠さんの時計工房

レビュー記事の中でも最初に触れたことですが、スカッとするような爽快感があるわけでも、飛びぬけた面白さがあるわけでもなく、正直地味なところのある作品です。

しかし、それ以上に読んでいてホッコリした気持ちになれる素敵な作品なんですよね。

働く女性の魅力に迫った作品で、そういう意味では10位に据えた『映写室のわかばさん』とも似たところがあるかもしれません。

真面目で夜遅くまで働いているような主人公の女性なのですが、忙しくてもとても楽しそうで、本当に魅力的に感じられるのです。

個人的には、今年読んだ漫画に登場する女性キャラクターの中では一番好きかもしれません。(笑)

内容的にはよくある日常系の作品という感じなので特筆するような要素は少ないのですが、だからこそ直接読んでその魅力を確かめて欲しい作品という気もします。

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3.昭和オトメ御伽話

完全新作ではなく『大正処女御伽話』という作品の続編にあたる作品となります。

昭和初期のレトロな雰囲気が素敵な話ですが、キャラクターはとても可愛らしいのに、意外にもドロドロとしたストーリーが展開していきます。

もしただただ物語の展開を淡々と説明しただけなら、ともすれば鬱屈とした雰囲気の作品に感じられるような作品かもしれませんが、実際に読んだらそれだけではない魅力がある作品だということが分かると思います。

また、なかなか先行きの予想ができない作品でもあって、今後の展開の楽しみ度だけで言えば一番の作品なのではないかと感じています。

ちなみに、単独でも楽しめる作品ですが、前作のキャラクターも数多く登場し繋がりも大きいので、前作を知っていたらより深く楽しめる作品になっています。

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2.オレが私になるまで

いわゆる性別をテーマにしたジャンルの作品となります。

この手の作品には一定の面白さがあるものの、一方でこれは本当に面白いと感じさせられる作品となると意外と少ないような気がします。

なので本作品も、僕はそこまで期待して読んだわけではなかったのですが、蓋を開けてみれば一つ一つのエピソード、それに一つ一つのセリフに奥深い意味があるように感じられ、何だか考えられさせるところの多い良作だったと感じました。

性別をテーマにした作品として、これだけ面白いと感じたのは『放浪息子』以来なのではないかと思います。

突発性性転換症候群というちょっとばかしSF的な要素も含まれている作品ですが、男子が女子として成長していくことを通して、第一次成長期における性別の違いを分かりやすく表現している作品なのではないかと感じました。

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1.水曜日のトリップランチ

グルメ漫画っぽさがありますが、食事そのものよりも食べるシチュエーションを描いた作品・・だと最初思っていましたが、それ以上に普通のラブコメ感も強いような気もします。

とまあ、こういう系列の作品なのだと一言で説明するのが難しいところもある雰囲気なのですけど、それだけ本作品が個性的なものだということです。

・・かと言って尖ったところのある作品かというとそうでもない。

少々変わったシチュエーションと人間関係ではあるものの基本的には日常系に近いところもあるからです。

本当に良い作品なんですけど、どんな作品なのかを伝えるのかがマジで難しい。

それでも頑張って一言で説明すると、主人公とヒロインから発せられる独特な距離感が食事によって繋がれている作品という表現が適切なのではないかと思います。

ヒロインの年上女子が、あまり女子力高そうなキャラクターではないもののとても魅力的です。

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総括

いかがでしたでしょうか?

それが最近の傾向なのか僕の嗜好なのかは定かではありませんが、傾向としては働く女性がヒロインの作品が4作品もある結果になりました。(笑)

あくまでも私的な順位付けではありますが、だからこそ有名作品や流行っている作品に偏りすぎずに紹介できているのではないかと思っています。

正直、前書きでも触れた通りどれも順位付けするのも憚られるような作品で、特に4位以内の優劣は、実は僕の中でほとんどありません。

僕の中での優劣はないので、そこは面白いと感じる人が多そうな作品を上位に据えてみています。(あくまでも私見ですけど)

最近はあまり新しい作品の発掘に熱心ではない僕でも、思い返してみればこれだけ面白い作品を1年間で見つけてしまっています。

来年はどんな作品が誕生するのか、それも楽しみですね。

『ガンバ!Fly high(6)』さすらい転校少女が再登場します!(ネタバレ含む感想)

 

ガンバ!Fly highは、藤巻駿をはじめとする平成学園の男子体操部員の成長と活躍を描いたスポーツ漫画です。

5巻までレビュー記事を書いてきて何を今更という感じかもしれませんが、これも以前から言及している通りガンバ!Fly highはスポーツ漫画的な面白さだけが見所の作品ではありません。

4巻から5巻にかけて描かれている種目別選手権のエピソードはどちらかといえばスポーツ漫画的な面白さが際立つエピソードだったと思いますが、6巻前半の地区大会、そして後半の全国大会についてはスポーツ漫画的ではない部分の面白さが色濃いように感じられます。

地区大会では、またもや廃部・・&コーチたちの首が掛かった試合に頼りの三バカが出場できないというピンチの中、選手の入れ替えというある意味スポーツマンとしては絶対に許されないはずの反則を主人公たちにやらせてしまい、しかしそれが最後感動的な展開に繋がるなんて、なんて秀逸な物語展開だと思わされます。

そして何よりメインヒロインである相楽まり子との再会から始まる全国大会編。

甘酸っぱい雰囲気の展開になるのかと思いきや、試合を通して転校後の相楽まり子の人間関係に迫る独特な物語展開になっています。

いずれにしても、藤巻駿たちはただの成果発表というだけではない試合をすることになっている点に共通点がありますね。

個人的には、6巻後半の全国大会編のエピソードが大好きなのですけど、たぶんこのエピソードが好きな人って多いですよね?

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本作の概要

1年前より成長した藤巻駿が見違えたような活躍を見せるものの、とはいえ陰謀渦巻き三バカ抜きになった地区大会で優勝するのは簡単なことではないようです。

そんな中で行われたのはまさかの選手のすり替え。追いつめられていたとはいえ、上野が内田と入れ替わるという不正を平成学園体操部はやってしまいます。

その後、その不正の告白までしてしまったものの紆余曲折あり全国大会への出場を決めた平成学園。

そこでは久しぶりのメインヒロイン・相楽まり子との再会が待っています。

しかし、猫かぶりが得意なさすらいの転校少女は、そこでの人間関係に苦しめられていました。

本作の見所

選手のすり替えと地区大会の結末

正々堂々としていることが美徳とされる勝負の世界。スポーツの世界はまさにその筆頭だし、爽やかなイメージも手伝って反則がもたらすイメージへの悪影響は相当に大きいはずです。

真剣なプレイの中で発生する事故的な反則ならまだしも、明らかに故意の反則は許されざるべき行為ですよね。

しかし、ガンバ!Fly highにおけるこの二度目の地区大会のエピソードでは、主人公である平成学園の男子体操部にかなり露骨な反則をさせています。

団体戦における途中からの選手のすり替え。上野が背格好の似ている三バカの一人である内田と、途中から入れ替わって団体戦を続けてしまったわけですね。

どんな選手にも得意不得意な種目があるわけで、こんな選手のすり替えがまかり通ったら極論どんな種目でも敵なしのジェネラリストが誕生してしまいます。(笑)

というわけで、選手をすり替えたという事実だけを捉えたらなんとも後味の悪そうなエピソードなわけですけど、実のところむしろ主人公である藤巻駿の綺麗な部分を強調するような結果になっているのが面白いところ。

平成学園が反則するに至った原因には大人たちの権力抗争に巻き込まれる形になったという同情すべき点があったこと。

それに敬愛するコーチたちの首が掛かっていたということ。

そんな同情すべき点があったので、もしかしたら黙って優勝していても良かったのかもしれません。

なんせ、三バカの内の一人が入れ替わっただけで平成学園は大活躍だったわけで、フルメンバーなら優勝はそもそも固かったわけなのですから。

「本当の優勝は君達だよ!! ごめんね!」

しかし、黙っていたら優勝だった表彰式、藤巻駿はどうしても黙っていられなくなって全てを打ち明け、金メダルを2位だった青春中学に譲ってしまいました。

その行動が、むしろ平成学園のスポーツマンシップが評価される結果に繋がったわけですね。

相楽まり子との再会

中学生にとっての1年といえば相当長い気もしますが、全国大会の開催地が福井になっていたこともあり、藤巻駿は福井に転校していったメインヒロインの相楽まり子と久しぶりの再会を果たします。

1年以上ぶりのはずですが、そう感じさせられないくらいに距離が近くて良いですね。

1年といえばあっという間と気もしますが、中学生くらいにとっての1年だと相当長いはずなのに、それを感じさせません。

こんな感じでガンバ!Fly highという作品の序盤において相楽まり子というメインヒロインは、エピソードごとに別れと再登場を繰り返すことになるわけなのですが、変わらない相楽まり子と平成学園男子体操部の距離感が素敵だと思います。

最大の見所は観客席

そんなわけで初めての全国大会に臨む平成学園男子体操部。

アンドレアノフの教えを受けジュニアの大会も経験した平成学園は、初めてにしては余裕をもって全国大会に臨もうとしています。

李軍団の所属する中学校も出場していて緊張感も高まりますが、アンドレアノフの教えを受けた楽しい体操、それぞれの個性を発揮した体操を見せつけることになります。

しかし、この全国大会編。体操の演技のシーンはもとより観客席のいざこざがまた面白い。そういえば、種目別選手権では実況席が面白いことになっていましたが、ガンバ!Fly highは体操の演技を見ている側の人たちが面白いという特徴もありますよね。

そして、今回の観客代表は何といっても再会した相楽まり子ですが、どうやら藤巻駿相手には強がっていたものの転校先の学校での人間関係がうまくいっていないらしく、友人の園田優香里以外とは非常に険悪な関係になってしまっています。

そして、どうやらその遠因が藤巻駿にあるらしいのですが、とにかく基本爽やかな本作品にしては珍しい修羅場が観客席を舞台に繰り広げられています。

「まり子のために勝って!! あの子学校で孤立してるのよ・・。あの子を元気づけてあげて!!」

そして、園田優香里が相楽まり子に内緒で藤巻駿にかけた発破。

それが今までとは一味違う勝ちにこだわった必死な演技をするという珍しい藤巻駿の姿に繋がり、まあまさに観客席のいざこざが選手にまで影響を及ぼすという変わった展開に繋がるわけですね。

正直、演技そのものより観客席の印象が強いという変わったエピソードだと感じましたが、そういうのも面白いと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

観客席から目が離せない、スポーツ漫画としては非常に珍しい物語展開がメッチャ面白いですよね?

アンドレアノフの楽しい体操を尊敬する藤巻駿が、かなり勝ちにこだわった演技をする点でも珍しいエピソードで、実のところ今までの藤巻駿の体操の良さを打ち消している意味もあるのですが、それなのに「らしい」と思わされるのも良いところ。

7巻では全国大会にも観客席にも決着が着くことになると思いますが、このエピソードは本当に何度読んでも面白いと思います。

2020年に再アニメ化されるらしい『ダイの大冒険』ってどんな作品?

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近年では古き名作が再び脚光を浴びるようなことが少なくありませんが、『ダイの大冒険』の再アニメ化の特報には本当に驚きました。

2019年12月21日。

この特報は、ファンにとってちょっと早めのクリスマスプレゼントになりましたね。

ケーキ買ってこなくちゃ・・です。(笑)

本記事では、『ダイの大冒険』を知らない人のためにどんな作品なのかの振り返りと、発表された情報をまとめつつ期待を煽っていきたいと思います! 

www.toei-anim.co.jp

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ダイの大冒険』ってどんな作品?

30年ほど前に週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画で、週刊少年ジャンプには珍しい王道的な剣と魔法のファンタジー作品になります。

週刊少年ジャンプの連載作品らしいいわゆる友情・努力・勝利の要素も色濃いですが、国民的PRGであるドラゴンクエストの世界観が元ネタになっているので、どちらかといえばスクエニっぽさのある設定でもあり、だからこそ歴代の週刊少年ジャンプの連載作品の中ではある意味強い個性を放っている作品になっていますね。

特報でも紹介されているように累計発行部数は4700万部の大ヒット作。

本家ドラクエには登場しない呪文が登場するなどオリジナル要素も多いのですが、それが後に本家ドラクエに逆輸入されることになるほど影響力の大きな作品でもあります。

ドラゴンクエストはプレイするけど『ダイの大冒険』は知らないという人は、もしかしたら本家オリジナルだと思っている要素の元ネタが実は『ダイの大冒険』だってこともあるかもしれませんよ?

最初は勇者に憧れるだけだった少年ダイが、徐々に勇者として成長していって大魔王バーン打倒を目指す物語。アバンの使途という仲間を繋ぐ設定も素敵な作品です。

しかし、それだけの人に読まれている人気作品にしては、過去にアニメ化された際の人気はそこそこという印象は拭えません。

放送時期に物語が中盤だったこともあるかもしれませんが、これだけの名作のアニメ化にしては少々残念な結果だったのは否めません。

それだけに、改めて完全新作アニメとして制作されると聞いた時にはとても嬉しく、どうしても楽しみにならざるを得ません。

近年における剣と魔法のファンタジーといえば異世界転生・転移ものの作品がジャンルを席巻している印象が強いですが、たまには原点に戻って『ダイの大冒険』のような作品に触れてみたいと思っていたところだったのですが、もしかしたら王道的なファンタジー作品に回帰していくキッカケになれば面白いかもしれませんね。

ちなみに、個人的にこのアニメ化は意図せず絶妙なタイミングになっていて、最近本ブログにて『ダイの大冒険』の1巻から順にレビューしていっていて、その途中だったりします。

よろしければ予習としてそちらもご覧になっていただければ幸いです。

もちろん、原作を読んでみた方がより予習になるとは思いますけどね。(笑)

www.aruiha.com

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ただ、一言だけ。

公式HPや特報映像に登場するダイの剣の画像ですが、確かダイの剣はこんな格好良く台座に収まっているような剣ではなかったはず。(笑)

まあ、格好良いから良いんですけどね。

まさかの再アニメ化情報に大興奮

www.youtube.com

こちらは今回発表された特報映像ですね。

アニメ化の発表を通知するだけの特報なのでまだまだ簡素な情報しか紹介されていませんが、その情報そのものがファンにとってはかなりのカンフル剤になっています。

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映像は、竜の紋章を光らせアバンストラッシュを決めるダイの数秒程度しかありませんが、あまりにも格好良いので何度だって見てしまいますね!

ちなみに、このアバンストラッシュの基礎となる技(大地斬など)も原作ゲームに逆輸入されてる技だったりします。

実際、ドラクエ11の主人公が放つ大地斬系の技の構えがモロにアバンストラッシュになっています。

ドラクエ11といえば、ドラクエ11はナンバリングタイトルの中でも『ダイの大冒険』の影響が強く感じられる作品だったりします。

直近のナンバリングタイトルが『ダイの大冒険』の影響が強い作品になっているのが、実は再アニメ化の伏線になっていたというのは考えすぎでしょうか?

まあ考えすぎなんでしょうけど、そんな考えすぎをしてしまうくらいに興奮してしまうのも仕方がありません。それだけ楽しみなんですから。

特報には更に気になる情報も!?

しかも、発表された情報はアニメ化だけではありません。

な・ん・と!

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ゲーム化プロジェクトが同時始動しているらしいことも発表されています!!

僕は、ドラクエはナンバリングタイトル以外はほぼプレイしないタイプの人間ですが、もし『ダイの大冒険』を元ネタにゲームが作られるのであれば、それは正直やってみたいような気がします。

ゲームの世界観が原作の漫画がゲーム化されるなんて、ありそうで無かった試みですよね?

どんな媒体で発売されるどんなゲームになるのか、今からとても楽しみです。

個人的にはスイッチが良いなぁ~

『死神坊ちゃんと黒メイド(1)』触れたものの命を奪ってしまう少年との触れ合いとは?(ネタバレ含む感想)

 

表紙の女の子も可愛いし、前々から目に付いてはいたものの、ちょっとした誤解で食わず嫌いしていた死神坊ちゃんと黒メイドという作品。

いや、最近はキャラクター属性を前面に打ち出しているだけで中身の薄い作品も少なくないので、死神坊ちゃんと黒メイドからもそういう雰囲気を感じ取ってしまっていたんです。

しかし、それにしては人気もあるようで「ひょっとして面白いのか?」と思って今更ながらに読んでみたわけです。

そして・・

何コレ、メッチャ良いやん!

恋愛ごとにおいて異性との触れ合いが全くないというのは本来あり得ないことだと思います。

それなのに、触れたものの命を奪ってしまうため誰とも触れ合えない主人公にラブコメさせるという発想がとても面白い作品だと思います。

また、ラブコメ作品にはちょっとエッチな要素があるものと、そうでもないものの二つのタイプに分かれると思いますが、本作品はどちらかといえば前者になります。

触れ合いが無いのに距離が近いという新しいラブコメ、思った以上に面白かったです。

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本作の概要

五歳の頃に、魔女に触れたものの命を奪う呪いをかけられた主人公の坊ちゃんは、周囲から隔離するために取り壊し予定だった旧邸に住むようになりました。

家族とは疎遠になり、一緒に住んでいるのは黒メイドのアリスと執事のロブのみ。

触れ合うことのできない坊ちゃん相手に、ちょっとドキドキしてしまうような逆セクハラをするアリスが作品にちょっとエッチな雰囲気を与えていますが、一方で触れ合うことのできない二人の純粋な恋物語にもなっているのではないかと思います。

本作の見所

触れたものの命を奪う呪い

触れたものの命を奪う呪いという設定自体は、実のところそんなに凄いと思わされるような発想ではないと思います。

なんというか、能力者ものの作品が好きな子供が妄想するような中二病的な能力の中でも一層安易な能力という印象です。

触れただけで相手を殺せる・・みたいな?

しかし、死神坊ちゃんと黒メイドという作品においてはこの設定を『能力』ではなく『呪い』としているところ、そして能力者ものの作品に登場しそうな設定をラブコメ作品のスパイスにしてしまっているところが面白いと思うのです。

だから一見安易な触れたものの命を奪うという設定がとても新鮮に感じられるわけですね。

また、ラブコメの作品って作品にもよりますけど、主人公とヒロインの距離がまだまだ離れているところから始まるのが常だと思います。まあ、主人公とヒロインがくっつくのがゴールの作品が多いので、当然といえば当然のことなのかもしれません。

しかし、これも死神坊ちゃんと黒メイドという作品においては、少なくとも主人公とヒロインの心の距離がラブコメ作品にしては近いところから始まっています。それも明らかに相思相愛に近いように思えるレベルで。

それなのに触れたものの命を奪う呪いのせいで身体の距離は遠く触れ合うことはできない。

心の距離は遠いけど読者サービス的な意味もあって身体の触れ合いは多めなのが普通のラブコメなら、死神坊ちゃんと黒メイドはそれを全くの逆にしている作品だと言えるのかもしれません。

「枯れた白い薔薇の花言葉は、『生涯を誓う』ですよ。その体質・・早く治してくださいね」

「いつか・・僕の手で君の薬指に指輪を」

これは第3話ラストのヒロイン・アリスのセリフと、主人公・坊ちゃんのモノローグですが、恐らくこのやり取りが死神坊ちゃんと黒メイドという作品の終着点を示唆しているのだと思われます。

呪いを直して「僕の手で」。

つまり、心の距離ではなく身体の距離をゴールに定めているわけですね。身体の距離をゴールになんて言うとちょっと誤解を招きそうな気もしますけど、違いますから。(笑)

ヒロインに逆セクハラなんてことをさせているのも、これは通常のラブコメでいうところのラッキースケベ的なイベントに該当するのだと思います。

身体的なエロではなく、精神的なエロという感じでしょうか?

考えてみれば考えてみるほど通常のラブコメと逆にしているのだということが分かりますが、それを触れたものの命を奪う呪いというたった一つの設定だけで実現し、通常のラブコメとは全く違った新鮮な作品になっているのが、本当に秀逸だと感じました。

逆セクハラする黒メイド

主人公の坊ちゃんに触れるか触れないかのギリギリまで身を寄せたり、その上で男なら思わず肩を抱いたりキスしたりしてしまいそうな雰囲気を醸し出したり、そんな感じで逆セクハラする黒メイド・アリスが本作品のヒロインとなります。

絶対に触れることが許されないからこそ、セクハラとして成立するのが面白いですよね。

触れることが許されていたらなぜセクハラとして成立しないのかというと、前述した通りアリスの言動はどんなに鈍い男でも思わず自分から触れてしまうようなものだから、呪いさえなければ坊ちゃんの方が野獣と化してしまっていると思うからです。(笑)

それを人は、少なくともアリスの側がセクハラしているとは見ませんよね?

それにしても、アリスの逆セクハラは非常にエロい。(笑)

しかし、いわゆるラブコメ作品にありがちな種類のエロさではない。

なんというか、下着が見えたり胸やお尻を押し付けるような事故が起きたり、そういうのがラブコメ作品には多い気がしますが、個人的にはそういうシーンはあまり好きではありません。面白いと思って読んでいる好きな作品でも、そういうシーンが素直に良いと思えないことが多いんです。

それがアリスの場合、そういう分かりやすいシーンは少なくて(あるにはある)、ただいるだけで、表情だけで、言葉だけで、妖艶さを醸し出しているようなところがあるのです。それが普通のラブコメを読んでいて感じるのとは違った新鮮さを感じる一員なのではないかと思います。

総括

いかがでしたでしょうか?

触れたものの命を奪う呪いをかけられた主人公の坊ちゃんに、そのお世話をしつつ逆セクハラしまくる黒メイドのアリス。それに執事のロブと、登場人物の誰もが個性的で魅力的な作品だと感じられました。

キャラクターデザインや、少し独特なタッチの絵も個人的にはとても好きなので、どんどんと続きを読んでいきたいと感じています。

『ダイの大冒険(13)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

作中屈指のタッグ戦が見所の13巻です。(前巻のレビューはこちら )

少年漫画あるあるの敵が味方になる展開がとても多い『ダイの大冒険』ですが、今回のバランが味方になる展開が個人的には一番好きです。

ダイとバランの親子タッグは大きな見所ですし、それが見所になるほど相対するハドラーが強くなっているのも熱い展開です。

熱いだけではなく、強敵ハドラーがちょっと可哀そうな感じになっているのも特徴的で、この辺からだんだんとハドラーというキャラクターの魅力が増してくるのも今後の大きな見所なのではないかと思います。

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本作の概要

ヒュンケルの体を張った説得の力も働いて、一時バランが仲間になることになりました。

竜の騎士2人のタッグで魔宮の門に挑み、そしてバーン打倒を目指す。

とても強力なタッグですが、すれ違いのあった親子特有のギクシャクとした感じがぬぐえない所が微笑ましくもあるエピソードです。

何だか憎めない感じになってきたハドラーにも注目です。

本作の見所

ちょくちょく目が優しいバラン

8巻でのダイとの戦闘後に見せた優し気な父親の目をしたバランですが、この13巻ではかなり頻繁にそういう目を見せているのが印象的でした。

最初の出会いが出会いだっただけに、むしろダイの方がバランに対して警戒心を抱いている雰囲気に感じられましたが、それが反抗期の子供のようにも見えて微笑ましくも感じられました。

「黙りこくっていても戦場で困るだけだぞ。いい加減何か口をきけ・・」

このバランのセリフなんて、まさに父親のセリフって感じですよね。

ダイの母親ソアラについて語る目もまた優しい。

あとはダイが赤ん坊の頃の回想が少し描かれているのですが、今の貫禄あるバランとは違う幼い赤ん坊のダイ(ディーノ)を可愛がる普通の父親の姿で、そのギャップが素敵だなぁと感じました。

完全にムードメーカーのポップ

先頭前のマァムとの夫婦漫才。

「絶対に・・みんなで生きて帰ろうな・・!」

仲間たちを奮い立たせる言葉。

「・・もう負けねえっ!! 安心してつっ立ってろよ!!」

重症のヒュンケルがやってきた時には、使い物にならないからつっ立ってろと最初憎まれ口のように言っていましたが、その本心は頼りになる兄貴分が後ろに立っているだけで勇気をくれるというもの。

頼りにしていると言いつつ自分が頑張ろうとしている姿に、もはや初期のポップの面影はありませんね。

随分と格好良く成長したものだと思います。

ダイとバランのタッグ戦

竜の騎士といえば、作品の序盤から主人公ダイの強さの象徴でもあった紋章の秘密の答えだったこともあり、『ダイの大冒険』という作品における強さの象徴でもあったのではないかと思います。

それだけに、そんな竜の騎士であるダイとバランがタッグを組んで戦うという展開はとても激熱に感じられました。

また、この組み合わせだからこそのやり取りも面白い。

バランの時折見せる父親らしい表情もそうですが、ダイもまた他の仲間とも敵に対してとも、はたまた道すがら出会ったモブに対してとも違った態度を見せているのも興味深いですよね。

竜の騎士の力を過信しすぎているところのあるバランに体を張って相手の強さを教えるダイなど、一見相性が悪そうなのに独特なチームワークを発揮しているのが素敵に感じられます。

ちょっと可哀そうなハドラー

さて、ダイとバランのタッグと聞けばここまで『ダイの大冒険』を読んできた読者としてはあまりにも最強コンビに感じられ、どんな敵が現れても何とでもしてしまう空気がありました。

苦戦する展開があるとすれば、未だ謎めいたところのあるミストバーンキルバーン。それか最後の大ボスとなるバーン。名前にバーンが入った三人くらいのものだと思っていたものですが、今回このコンビに相対するのはハドラー単騎となります。

超魔生物に改造されたことでダイを圧倒するほど強くなったとはいえ、ダイとバランのコンビに勝てるほど強くなったとは思えません。

しかし、強さそのものより精神的な成長の方が大きそうな気がするのがハドラーというキャラクターです。一人で登場した時点でダイとバランが苦戦するのは見えていました。

なのですが・・

可哀そうなことにハドラーには黒の核晶という爆弾がバーンによって仕掛けられていました。

そのことで、そもそもダイとバランは積極的にハドラーを攻撃できなくなってしまいます。

何故か消極的な二人に違和感を覚えつつも念願の戦いに身を置くハドラーでしたが、超魔生物に変化してまで身に付けた力を発揮するのに本気の二人を相手取りたかったはずだろうに、これは少し可哀そうな気もしますね。

ミストバーンの素顔

実はミストバーンが素顔を見せるのはもっと終盤だと記憶違いをしていましが、ここで登場していたのですね。

このミストバーンの素顔について語りすぎると、かなり終盤のネタバレになってしまうのでここでは言及を避けますが一つだけ。

「バーン自らが真近に来て魔法力を与えでもしないかぎりはっ・・!! まっ・・まさかっ・・!!!?」

黒の核晶を抑え込んでいるバランの竜闘気を突き破って、黒の核晶を作動させたミストバーンに対するバランのセリフが、大きな伏線になっているということだけは確かです。

総括

いかがでしたでしょうか?

単行本ではなく文庫版ですが、絶妙なタイミングで一冊を終わらせてくれますね。

黒の核晶の爆発で、ダイ、バラン、ハドラーの三人はどうなってしまったのか?

そして、未だ座したままのバーンは?

なかなか続きが気になるところですね。(次巻のレビューはこちら)

『オレが私になるまで(2)』元少年の少女の成長に考えられさせる漫画(ネタバレ含む感想)

 

いわゆるトランスセクシャルはフィクション作品との親和性が高いのか、それをテーマにした作品は枚挙に暇がありません。

自分がもし女だったら、あるいは男だったら?

いわゆる本物のトランスセクシャルでなくとも、そういう形での異性への興味は多かれ少なかれ感じたことがある人も多いと思うのですが、だからこそ時折こういった作品が生まれるのかもしれませんね。

そして、1巻のレビュー(こちら)でも前述したとおりオレが私になるまでは、そんな性別をテーマとした作品の中でも相当な秀逸さを誇る作品で、僕も2巻の発売をかなり楽しみにしていました。

1巻では、唐突な性別の変化とそれに伴う環境や意識の変化が主に描かれていたところですが、2巻では性別が変化した後の成長に主点が置かれています。

小学校高学年から中学生という思春期最序盤をアキラがどのように過ごすのかが興味深い内容になっています。

また、1巻のレビュー(こちら)で僕は「瑠海に秘密(もともと男だったこと)を隠していることが何かしらの悩みに繋がる」という予想をしていたのですが、どうやら当たらずとも遠からずだったようです。

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本作の概要

男女の違いが如実に表れる年頃へと成長したアキラ。

アキラ自身だけではなく、周囲の環境も変化していってますが、その変化は本当に少しずつ。しかし、目まぐるしく変化していくように感じられるような描写が非常にリアルな内容になっていると思います。

変化していない部分もあるからこそ、そう感じられるのかもしれません。

アキラが感じている変化に対する戸惑いは、実のところ性別が変わったからというだけではないところもあり、意外と多くの人の共感を呼ぶものになっているのではないかと思います。

本作の見所

変わっていない自覚

小学校高学年といえば異性に興味を持ち始める年頃で、早ければ彼氏や彼女のいる子供もいますよね。僕が小学生の頃も、少ないですけどそういうヤツいました。

ただ、早熟なヤツもいればまだまだ子供な悪ガキがいるのもこの年頃。

同じ集団の中に精神年齢が大人に近いヤツと子供のままのヤツが混じってくると、何故か子供に近い側のヤツにとって自分より成長の早いヤツがからかいの対象になりがちですよね。

これがもう少し成長すると立場が逆転するものなので、ある意味人生においてもかなり特殊なタイミングと言えるかもしれません。

そしてアキラの同級生にも、恋人同士になって、でもそれを隠したくて、しかしバレてからかわれている子がいました。

そして、そんなからかっている悪ガキが昔の自分に重なって見えたアキラは、つい暴力に訴えかけてしまいます。

「俺、一発しか殴ってないのに。藤宮なんて・・俺のこと何回も何回も・・! なんで俺だけ!!」

そして、小学生くらいの男子だとまだまだ相手が女子だからとかいう意識は希薄。アキラに殴られた菊池という男子は、かなりガチでやり返そうとしてしまいました。

最初の喧嘩の原因は菊池の悪ふざけだったとはいえ、最初に暴力を振るったアキラに全く非が無いわけではありません。

しかし、菊池はアキラにはお咎めが無かったことが不満そうです。

「なにが「男らしさはなくなった」だ・・。気にくわないことがあればすぐ暴力をふるって、人に迷惑をかけて・・。オレはなにも変わってない」 

しかし、アキラの意識としては自分が女だから周りが優しくなったということを自覚しているようですね。

自分は変わってなくて、周りが変わったということです。

確かにアキラの性別が男だったとしたら、たとえ最初の非が菊池にあったところでアキラも全くお咎めなしとはいかなかったような気がします。

とはいえ、このような気付き自体がアキラにとっては大事なものになるのではないかとも思いました。

大人になるということ

子供の頃の年齢差は、小さくても大きく感じられるものです。

小学六年生になったアキラは、小学一年生の後藤美羽からはとても大人に見えるようで、そんな姿が微笑ましいですね。

「あたしあこがれてるの! おねえちゃんみたいにきれいで。おおきくて! ステキな大人の女の人に」

綺麗と言われても実はワキ毛が生え始めてきていて、大きいと言われてもクラスで背は低い方で、素敵な大人の女と言われても元男で、褒められれば褒められるほど複雑そうなアキラがちょっと面白かったです。

とはいえ、確かに子供の年齢差はたった一歳でもとても大きい。

小学一年生から見た小学六年生なんて最早別存在に感じられるものです。

小学生から見た中学生、中学生から見た高校生、高校生から見た大学生。

年齢差は僅かでも、随分と大人に見えたことを覚えています。

そして、年上側から見た時に実のところ思ったほど大人になっていない自分が微妙に気まずいというね。(笑)

25歳くらいまではかなり子供っぽく見えるくらいになってしまった僕からすれば懐かしい話です。

いずれにしても、1巻ではまだまだ子供だったアキラが徐々に大人になっていくわけですが、その過程がどうなっていくのかが楽しみです。

スカートを選ぶアキラ

アキラの事情を知っている先生が、合唱コンクールの衣装をスカートにするか、アキラに配慮してクラス全員男子用に揃えるかを提案するシーンがあるのですが、こういう配慮って素敵ですよね。

しかし・・

「中学行ったら・・セーラー服だし! えっと・・だ・・大丈夫です」

そこでスカートを選ぶアキラ。いずれ着ることになるセーラー服のスカートに慣れるためという建前ですが、少しばかり言い訳じみて聞こえます。

それを何も言わず見守る先生が優しい!

しかし、もし本当に突発性性転換症候群という病気があったとしたら、徐々にアキラのような選択をするようになるのは分かるような気がします。

人は無意識の内に身に合った服装を選ぶものだと思うからです。

分かりやすい例だと、年齢による服装の変化でしょうか?

10代、20代、30代・・そして老人に至るまで、男女問わずその年齢に合った服装というものがあり、しかしそれはそういうものだから選ぶというより、無意識の内に自分の年齢に合った服装を選ぶようになるような気がします。

それに例えば、海外とかで自分の服装が浮いていたら、それが例え日常的には普通の服装だったとしても落ち着かない気持ちになることでしょう。

そんな感じで、服装の好みは実のところ年齢や性別、環境によるところが大きく、大きく外れないものを好みがちなので、女性になったアキラがスカートを履いてみたいと思うのは自然な感情なのではないかと思ったわけですね。

とはいえ、このような変化をどのようにアキラが受け入れていくのかは興味深いところです。

瑠海との喧嘩と仲直り

突発性性転換症候群で男から女に変わったアキラは、そういう変化があったからこそ必要以上に自分の性別に対して敏感になっていた可能性があります。

つまり、女になったのだから女らしくならないとという意識が過剰気味だったというわけですね。

「女だからって女らしくする必要なんてない!」

中学校に入学して新たにできた友達である藤木葵に、アキラはそのことに気付かされます。

元男のアキラにとって自然体で仲良くしやすい藤木葵でしたが、しかしそれに瑠海が意外な嫉妬を見せ、小学校ではアキラの最も強い味方であった瑠海と喧嘩する原因になってしまいました。

とはいえ、実のところこれはエピソード的にそこまで重要ではありません。

仲の良い友達。喧嘩のひとつもするのは普通のことでしょうからね。

そうではなく、このエピソードの面白いところはアキラが喧嘩をキッカケに、腹を割って元男であるという秘密を瑠海に打ち明けるべきかを本格的に悩み始めているところにあります。

そして・・

「瑠海! 言いたいことがあるんだけど! 大好きだよ! また・・はじめから友だちになろう!」

・・って、秘密を打ち明けるんちゃうんかい!

思わずツッコミそうになってしまいましたが、これはこれでアキラの好きがどういう意味の好きなのかが気になるところですし、保留された秘密の告白は一体どうなるのかも気になります。

一体全体、どういう展開になっていくんでしょうね?

総括

いかがでしたでしょうか?

オレが私になるまではかなり展開がスピーディーなので、面白いと感じている僕としてはもう少しゆっくり描いて欲しいと思わなくもありません。

しかし、一方で恐らくは重要だと感じられるようなエピソードのみを描いているからこそ、濃密で面白い作品に仕上がっているのだとも思います。

これはジレンマですが、個人的には今まで通り濃密な作品を描いていって欲しいような気がします。

今後は恋愛や大人になってからのアキラの生き方に対する悩み、それに瑠海など仲の良い友人に対して秘密をどう打ち明け、どう反応されるのか。その辺が描かれていくことになると思うのですが、結果が予想できそうで予想できないところが楽しみですね。

タイトル通り「私になるまで」を描く物語なのだとしたら、既にその傾向があるもののアキラは女性として生きていくことを選ぶのだと思います。

そうなった時に気になるのが恋愛面でアキラが男女どちらを好きになるのか、あるいは両方好きになり得るのかなどが気になる所ですね。

果たして2巻ラストでアキラが瑠海に対して言った「大好きだよ!」はどういう意味だったのか?

その答えが3巻に向けて最も気になるところですが、たぶん本人は分かっていないのではないかと予想します。(笑)

そう遠くない未来に女性として過ごした時期の方が長くなるアキラがどうなっていくのかに注目ですね。

『ダイの大冒険(12)』原作ゲームにまで影響を及ぼす名作の感想(ネタバレ注意)

 

北の勇者の当て馬感が凄い12巻です。(前巻のレビューはこちら )

12巻のメインは11巻で登場したハドラー親衛騎団との戦闘となります。

死の大地へ移動するための巨大船を建設している漁港サババがハドラー親衛騎団に襲われるところから始まるエピソードですが、新たな強敵に大苦戦しつつもポップのメドローアも実践お目見えとなり、大きな見所になっています。

また、久しぶりに登場するバランにも注目ですね。

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本作の概要

それぞれの修行を終えたダイたちは、しかし死の大地へとつながる漁港サババを襲撃したハドラー親衛騎団に大苦戦します。

新たな強敵が続々と登場してくる中、ダイの父親である竜の騎士バランも再登場し、物語が徐々に盛り上がっていきます。

本作の見所

北の勇者

初めて読んだ時も、ちょっと浮いた存在に感じられたのが北の勇者。

自ら勇者を名乗るだけあって、その風貌は確かに子供であるダイ以上に勇者らしいし、名前も新星を意味するノヴァと超格好良い。

それでいて最初から「ああコイツ当て馬なんだろうなぁ」と一瞬で理解できる言動。まだまだ物語のお約束的なことを知らなかった頃の僕ですら分かったくらいに分かりやすい。(笑)

恐らく、もっと昔の時点のダイたちよりは強いのだと思います。

しかし、ハドラー親衛騎団からも相手にされず、ストーリー漫画特有の徐々に戦いのレベルが上がっていく流れの中で既にかなりレベルが上がってしまっているので、力量のわりに活躍することもできず、なかなかに可哀そうなキャラクターかもしれません。

そういうキャラクターが登場すること自体は結構あるあるな気もしますが、『ダイの大冒険』においては珍しいかもしれませんね。

力の差を思い知った戦闘後も、言い方はアレですが惨めさに浸っていたようなところもあるのですが、それすらマァムに怒られて許されず、踏んだり蹴ったりなのによくよく考えると少なくとも今回のエピソードでは必須で必要だったわけでもないキャラクターだというのが面白いです。

ハドラー親衛騎団

12巻はまさにハドラー親衛騎団一色の内容でした。

もしこの漫画がカラーなら金色一色になったことでしょう。(笑)

「おそらくヤツは兵士(ポーン)のはず・・!! あんな最弱の駒をダイにぶつけてくいとめられるとでも思ってるのか?」

ハドラー親衛騎団の面白いところは、チェスの駒になぞらえたキャラクターなので最初はクイーンであるアルビナスが最強なのかと思いきや必ずしもそうではないところ。

アルビナスも言及している通り、チェスの駒にあるのは能力の違いだけで上下関係では無いはずで、あるのはその時々の状況における有効性の違いのみのはず。

実際、後々もっとも活躍することになるのは兵士(ポーン)のヒムだったように覚えています。

上下関係では無く駒の個性で描いているようなハドラー親衛騎団。なかなか面白い設定のキャラクターだと思いました。

メドローア実践投入

オリハルコンの戦士であるハドラー親衛騎団には、一応ダイたちの攻撃は通用するようですがなかなか倒しきるのには苦労するようです。

そんな中、ポップのメドローアがいよいよ実践投入となります。

ルックのブロックが身を挺して他のハドラー親衛騎団を守らなければ、これで勝負は付いていたと思われるほどの威力。

技を放った後の勝利を確信したポップのたたずまいが過去最大で格好良いですね。

しかし、これはオリハルコンの戦士でもただでは済まないというメドローアの威力を示すのと同時に、ハドラー親衛騎団のチームワークの良さを示す結果にもなりました。

チウの活躍

ダイの大冒険』においては、ダイやヒュンケルのように強く戦いの才能もあるキャラクターだけではなく、ポップを筆頭とするどちらかといえば弱いところもあるけど成長して強くなるタイプのキャラクターが目立つ節があります。

それは弱いところからレベルアップしていくドラゴンクエストらしい部分でもあるかもしれませんし、読者視点で感情移入しやすい意味もあるのだと思います。

そして、12巻ではそういった類のキャラクターが活躍している印象が強いのも特徴でした。

ポップのメドローアもそうですが、チウもまた良い感じの活躍をしています。

まさかの大魔王バーンの居城の発見。

その後、ハドラー親衛騎団のシグマに見つかってしまいかなり分の悪い戦闘を強いられることになるのですが、必死で自分の部下にした魔物を守ろうとする姿はとても格好良いです。

決して強くはないし、最初はどこか口だけネズミの印象があったチウですが、この辺でどうやら口だけではないらしいことが明らかになったような気がします。

バラン再登場

さて、今回チウは格好良かったのですが、さすがに相手が悪すぎて大ピンチを迎えていました。

そして、そんなチウを助けたのは意外な人物でした。

同じく弱さのあるキャラクターであるポップなのか?

それとも定番に勇者ダイなのか?

シグマのやり方が割と残酷だったので、ハドラー親衛騎団の誰かやハドラーという可能性も考えたりしました。

しかし、そのどれでもなく何とチウを助けたのは久々登場のバランでした。

ダイとの死闘の後、何かしら心境の変化があったのであろうことは想像に難くないところですが、そんな変化がヒュンケルに見透かされるほど強く表れているのが印象的でした。

総括

いかがでしたでしょうか?

どうやら死の大地へと踏み入る人間の選別だったらしいハドラー親衛騎団の襲撃でしたが、ほとんど壊滅状態にある六大軍団に変わる新たな強敵という感じですね。

昔読んだ時、オリハルコン制の戦士というキャラクターがデザイン的にも設定的にも子供心に安易に感じてしまった覚えがあるのですが、この戦士たちが今後しばらく物語を盛り上げていくことになりますし、特にポーンのヒムなんかはなかなかに愛着のあるキャラクターになってくるから不思議です。(次巻のレビューはこちら)